ガレージの中だけで4台のホンダ・ジュノー。そばのガレージにもジュノーがもう一台。
見た事のある人は多くないと思います。たった170ccだのに水平対抗エンジンと、バダリーニ式の油圧式無段変速機と言うややこしい動力伝達機構を持っています。今の遠心プーリーとゴムベルトの何倍も、とんでもないコストが掛かっています。
その下は、360ccで4気筒.DOHC.4キャブレターと言えばご存知の方もいるでしょう。
HONDA T360のエンジンです。DOHCなんて珍しくもない現在からは想像も出来ないかも知れません。当時レーシングカー以外でDOHCってアルファロメオぐらいしか無かったのでは無いでしょうか。ポルシェだってフェラーリだってSOHCだったと思います。360cc4気筒DOHCって、当時で言えば何人ものメカニックが付きっきりで世話をする、オートバイのグランプリレーサーのスペックです。トラックですから扱いは乱暴だし、日々のメンテナンスだってままなりません。整備するのは昨日まで自転車を売っていた人達です。(自前の販売系統を持たなかったホンダは、街の自転車屋さんにオートバイを売らせて、更に自動車のディーラーに育てようとしました)
不思議な変速装置にDOHC、当然ですが、現場では複雑なメカニズムに対応できません。相次ぐ不具合に設計変更がかさなり、製作時期が少しずれると部品の交換性がありません。現場のメンテナンスなんて考えた事も無い、狂気とも言える技術指向。経営からすれば、あり得ない選択です。キチガイホンダ 偉い!パチパチパチ(拍手)。この二台を最もホンダらしいホンダと呼びたいと思います。
今なら、エキセントリックな機械も好きな人がいて、整備が可能です。(誰でも触れる機械じゃ無い事は変わりませんけどね)
その次はダットサントラック220。博物館の展示用やイベントの時だけ出て来る車じゃ有りません。車検場までバイクを運んだりする現役です。
3月の末に30年型AUSTIN 7のアルスターを見せて貰ったばかりです。こちらは36年型AUSTIN 7の2座スポーツ、
続けてお目にかかるとは思いませんでした。
AUSTIN 7とダットサントラックを並べると、これがサニートラックまで繋がる系譜である事が判ります。凡庸とも呼べるオーソドックスな技術の積み重ねが価値を生んだ良い例だと思います。
他にも前後方向の水平対抗エンジン ダグラスがあったし、初代のシルバーピジョンを初めて見ました。カブと一緒にツーリングに行ける程良く走るそうです。
スバル1000を持ち上げていて、裏から特徴的なインボードドラムブレーキを見る事が出来ました。昔見たメルセデス300SLRの透視図に良く似ていました。合理的なサスペンションレイアウトとバネ下重量の軽減を実現しています。とても格好が良いのですが、ブレーキの調整やブレークシューの交換はとっても面倒なんですって、なるほどねぇ。