毎年その分厚い年鑑を見かける度に、ありとあらゆるものが載っていることに驚きます。
グッドデザイン賞という仕組み自体が生きて行く為に、ありとあらゆる所からお金を集めて、ありとあらゆる所に賞を配らなければならない訳です、多分ね。
お役所が天下り先を作るのに熱心だったりするのと同じ様に、こういうのをサスティナブルデザインと言うのでしょうか。
だとすれば中々良く出来た仕組みです。和を持って尊しとする国らしいとも思います。
多くの人にとって役に立つ結構な仕組みではありますが、仕組みに関わる多くの人より、もっと多くの仕組みに無縁な人の為に、数を減らした方が分かりやすいと思います。私だったら最高のグッドデザイン賞をバナナだけにあげたいと思います。
あんなに簡単な形なのに、誰でも一目で認識出来て間違える事がありません。
認識しやすい簡単な形、ミニマルな方向に向かうと、丸、三角、四角。選択肢が狭くなってしまいます。丸や四角が何かの記号だったり比喩だったりする可能性もあって、何を表すのか意外に特定しにくいものです。幾何学形態以外では、それがジャガイモなのかメンタイコなのか分からせるのは結構大変です。
色は黄色一色、めちゃくちゃ視認性が高い。
それが、そのまま賞味期間を表示しています。
緑はまだ早い、黄色は食べ頃、黒の斑が早く食べる様に警告して、黒くなったら賞味期限切れ。
食べる時にも房から折った所がプルタブになって綺麗に剥けます。
一切道具を使いません。そのまま片手で何も汚さずに食べられます。
いくら美味しくてもひと粒づつ剥くのが面倒だったり、思った様にほうばれなかったりが普通です。これほど食べやすい食べ物って他にあるでしょうか。
赤いリンゴも分かりやすい記号ですが、剥いたり芯を捨てるのが面倒です。お米やパンは炊いたり焼いたりしなければ食べられません。牛や豚、魚だって食べられる様にするのには大変な手間が掛かります。
大部分の食べ物はそれ自体の他に人間がパッケージデザインをしてやる必要があります。保存や収納、運搬を考えれば、大部分の場合、四角い箱にするのが一番です。それ以外の奇策はまず不便を招きます。バナナだけが例外です。
そのまま食卓に載せても良いし.お弁当に一本足すのにも好都合.お店で買うのにも一房が便利です。農場で穫れた大きな房はそのまま運べるしぶら下げて保管するのにも具合がいい。農園から人の口に入るまであらゆる状況下でどういう形をしていれば良いか、どうやって運んで、どうやって保存すれば良いか、全てががあの簡単な形の中に盛り込まれています。
どうでしょうバナナに匹敵する良いデザイン、思いつきましたか。良いデザインなんて、そう多くは無いよと思います。
イデオロギーや歴史的な功罪があって難しい所もありますが、国旗にかんして日の丸をしのぐものはありません。(三色旗も悪くないけど日の丸と比べたら数の多い所がね、ロシアとフランスはどこが違うのかな。日の丸が超一流で三色旗は普通の一流かな、イングランド・スウェーデンあたりの十字も悪くないけど三色旗と同じで独自性に欠けます。三色旗やストライプに、マークや紋章入りのインド・スペインは二流、カナダは成功例ですね。イギリスのユニオンジャックやアメリカの星条旗みたいな悪あがきが三流、説明や言い訳が必要な所が情けない。一目で納得するのが良いデザインだと思います。あの手で成功してるのはギリシャぐらいかな。ブラジル・韓国・南アフリカはその下なんて言ったら怒るだろうな。ここまで書いて気が付きました。これは言ったらいけない事なんだな。)
中央線、山手線、総武線、京浜東北線の塗り分けも、効果の大きいものでした。社会全体が分かりやすい理解を共有する事で、日本の社会の効率がどれだけ上がったかと考えられます。
営団地下鉄のサインシステムを、その次ぐらいに持って来ても良いなと思っていました。それくらい数少ない評価の対象だったのです。東京メトロと名前を変えてからの青と黄色は決して良いと思えません。これから全て替えて行くのかと思うと気持ちが萎えます。