入院中に読んだ本の中で二番目に面白かったのは、話題の福岡伸一’生物と無生物のあいだ’でした。
生命とは何かという命題に、いきなり、自己複製を行う仕組みである。と言い切られてしまいます。そりゃまぁそうだけど、もう少し目新しい面白いこと言ってくれるのかと思いました。
それは私が生殖行為による子孫といったつまらない連想しか出来ない所為でした。
口に入った物が分解されてそれぞれの細胞に届いて、排出されて行きます。
分子レベルで考えると常に代謝が繰り返されていて、去年と同じに見える私の顔もキズの跡も、去年と同じ分子は何一つ無い。全く同じに見える形質が保たれているのはなぜかなどと言われると格段に面白くなって来ます。
DNAの解明に関しての歴史的経緯や周辺の人物像も興味深いものでした。
最初で失いかけた興味をつないでくれたのは、野口英世の話だったのかも知れません。狭い日本の中だけでなく、外の世界からどう見えるのかには,関心がつきません。
雑誌に載っていれば、読む事もありますが、渡辺淳一の本を買おうとは夢にも思いません。けれど、結婚詐欺まがいを繰り返す野口英世について書いてある’遠き落日’を読んで見たくなりました。
どこかでゴシップと生物学のあいだの方がいいとか、ニューヨーク観光案内とも書いてありました。上手い事言うなと思いました。観光案内、ゴシップ、生物学のいずれにせよ、こんなに人を引き込むのは大変です。それになかなかの美文というのでしょうか、こうした文章を目にする機会は極く少ない様にも思いました。
コメント