入院中に読んだ本の中で、一番面白かったのはシュリーマン旅行記・清国・日本でした。
何カ国語も独学でものにする語学の天才だったり、考古学に関して素人だったり、商人として世界中を飛び回っていたのは読んだ事がありました。
けれど、ペリーに開国させられてすぐに、あのシュリーマンが日本に来ていたとは知りませんでした。
頑に鎖国を貫いていたのに、アメリカに無理矢理開国させられた日本は世界中の興味の的だったようです。けれど外国人が攘夷派に襲撃されることも多くて、各国公使も江戸を引き払って横浜の居留地に籠っている様な状態では、興味はあっても実際に日本に上陸した人間が多かったとは思えません。
八王子まで出かけたり、江戸見物を何度もしていたなんて、王子見物の折には扇屋でご飯も食べています。
既に世界中を旅していて、奇想天外な風俗や習慣にも客観的でいられたのでしょうか。
驚く程、偏見が少ない。けれど直前の中国には明らかに嫌悪感を抱いています。
日本に対する好意が不思議でなりません。
上陸の折、税関の官吏に一分づつ渡そうとした所、ニッポンムスコ(日本男児?)と胸を叩いてこれを受け取らなかったらしい。全てが袖の下で動く清から来て最初の出会いが最後までの印象を良くしていたのかもしれません。
大名屋敷の構造から庶民の長屋、公衆浴場から寺子屋、中国の寺と日本の寺の違い、
生活習慣、あらゆる物を正確に偏見なく観察しています。
複雑極まりない社会構造の中で天皇と将軍、大名との関係も見極めています。
こうした観察と理解が彼の商売の成功の原因なのでしょう。
日本紹介としてはイギリス公使オールコックによる大君の都を読むと良いとも書いてありました。日本語訳があるならこれも読んでみたくなりました。
こうした幕末から明治初期の日本に関する報告には、お歯黒の話が必ず出て来ます。結婚した女性全てが歯を黒く染めていたと。だとすると全ての時代劇はその点に関して嘘っぱちだと言う事になります。
食事はめいめいのお膳を床においてしていたと思われます.ちゃぶ台を家族で囲む食事は明治を通して広まり、大正昭和で完成した近代化だったはずです。先日何かの時代劇でちゃぶ台が出て来ました。これも嘘じゃないかなぁ〜?
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