昔は板張りの床と言えば檜の縁甲板が多かったと思います。
最初、ナラのフローリングを見た時に、同じ板の間と言っても随分違う物だと思いました。椅子で暮らすならこちらの方が本物なんだろうなとも感じました。
靴を履くのであれば、正確な楢の床の上に、椅子を置いて暮らすのは格好が良いと思います。
けれど私は、部屋の中まで靴を履くのは勿論、スリッパを履かされるのも苦手です。出来れば靴下も脱いでしまいたい。時には床に座ったり寝たりもしたいと思います。
憧れた広葉樹のフローリングより、昔馴染んだ針葉樹の縁甲板がいいなぁと思い出した頃、檜の縁甲板はとても手の届かない物になっていました。綺麗な塗膜が光る堅くて冷たい堅木のフローリングではなく、柔らかい白木の縁甲板を捜しても安くて具合の良いものがありませんでした。
安くて具合の良い松が出回り出したのは暫くしてからでした。平米で4000円か5000円ちょっと、3年程前自分の所に使った節だらけの奴は平米で2000円ちょっとでした。綺麗な塗装のフローリングについた傷は致命傷です。松は柔らかいので傷も付きますが、それも味のうち。冬は暖かく,夏は素足が快適です。汚れも付きますが中性洗剤と漂白材を混ぜてたわしで擦れば大体は綺麗になります。(寿司屋のカウンターみたいです)20年にはならないけれど随分あちこちで使って来ました。付いた傷も味の内と思える人からは概ね喜んでもらえました。
私自身気に入っていたのですが、自分の部屋で足の裏にとげを差してしまいました。かかとの外側でどうにも上手く自分でとげが抜けません。まぁいいやと放っておいたら腫上がって来ます。今日医者に行ったら抜くのに麻酔までかけられました。昔、一本一本,木の裏表を確かめながら製材していた時にはこんな事はありませんでした。床に木裏を使うと年輪の端部がめくれ上がってささくれ立つのです。
使い出した頃、大工が搬入した材料を見て木の裏表もデタラメな材料なんて使えるかと怒り出して、仕方が無い、倉庫まで行って膨大な山の中から木表を選んで入れ直しました。今はそんな事を言う大工もいないし、仕入れ先に木表だけ選ばせろなんて言えるはずもありません。
お客様の所で見せてもらった住宅雑誌も安い家ははほとんど松のフローリングです。怪我でもしたらどう思うでしょうか。お客様の反応が怖いです。皆さんはどうしてますか?