ローウィのデザインを否定的に捉える事は簡単です。左の鉛筆削りや売らんが為のデザインに反感を覚える人は沢山いると思います。
どうしても否定しきれない所があるのをクルマのデザインを例に幾つか上げて見ました。でも彼のデザインの中で一番好きなのはfairchildの音響機器です。
LPが普及して豊かなアメリカでは各家庭にLPレコードの再生装置が用意されました。更に2チャンネルのステレオが普及したあたりが丁度アメリカの最も豊かな時代と重なります。マランツの#1から#10まで(特に#7#8#9)やJBLのD130、375、ハーツフィールド、パラゴンあたりをアメリカンオーディオプロダクツの黄金時代としても良いと思います。今でも日本で人気があるこうしたプロダクツデザインの中にFairchildが取り上げられる事が少ないのは残念です。
マッキン、マランツ、JBL,Altecは日本で目にする事も簡単ですが、Fairchildを見る事は稀です。私も実物には2.3度しかお目に掛かった事が有りません。音はまだ聴いた事がありません。
モノラルの245プリアンプを、2段重ねにしてステレオに対応したのが248です。マランツの#1と似た事情だと思います。アルミ板をコの字に折り曲げて、互いに90度ずらす事で筐体を作るのは最も安易な方法です。日本でも一番安いアルミケースが同じ方法で作られています。同じ方法で作られた245ですが、安っぽさを微塵も感じません。材料の厚さと精度の問題でしょう。オレンジという選択も平凡とは言いかねます。恰好が良い、これこそデザインのなせる技と感じるのは私だけでしょうか。
本当はカートリッジやターンテーブルも見て欲しいのですが良い写真が有りませんでした。何かの機会に紹介したいと思います。