映画2本を見ただけで二つの国について何かを決めつけるのが馬鹿げている事ぐらいは判ります。好きなフランス映画は多いし、関係ないかも知れませんが仏車も好きで乗り継いで来ました(今は国産だけど)。けれど前から一度言いたいと思っていました。私にはフランス人が最低だと思う事が時々有ります。この人達にロケンロールは無理だなと。私の中に小理屈を並べて講釈を垂れるケツの穴の小さな人間と、そうした人間を嫌って物事を成る可く簡単に考えたい人間とがいます。鬼火や気違いピエロを見ていても時々後者の私が出て来てイライラ仕始めます。なんでフランス人はああやってどうでも良い事をネチネチウジウジと考えるのか。考えるだけならまだしも人のいる所で口に出したりするのか。説明の付かないデタラメを人前で垂れ流しにするのか。こうした腹立ちをどうしたら人に伝える事が出来るのかと思っていました。
昨日の夜、飯田橋のギンレイホールで見て来た ’風にそよぐ草’ を見て頂ければ私の考えを広く人に判ってもらえると思いました。あんなデタラメを不条理などと喜んでいて良いのか、フランス映画だから、アラン・レネだからと許して良いのか。一切の正しさや潔さと無縁で、個人の中の全く説明も出来ないウダウダグジャグジャ映画を見せられて心底腹を立てました。(映画には本物のスピットファイアが出て来て少し救われました)
他人にとってどうでも良い話や、説明の付かないウダウダを、到底人に伝わる普遍性のないまま垂れ流しにする所では邦画に対しても同じ様に腹の立つ時が有ります。他所の国でも情けない事になっている事が少し嬉しかったりもしました。
もう一本がロバート・レッドフォードの ’声をかくす人’ でした。2本とも邦題に無理があるとも思いますがそれには触れません。あんなに輝いていたルーカス、スピルバーグ、コッポラに感心することが無くなりました。それに比べてクリント・イーストウッドとロバート・レッドフォード、二人のストレートな映画作りには感心する事が増えました。こちらは真に判りやすい、誰にでも共有出来る普遍性を持っています。恐ろしい程フェアで正義感に満ちた主題を素晴らしく周到に丹念に映画にしてあります。全く素晴らしく良く出来た映画で何より圧倒的に正しい映画です。けれどこうした正しさと大量破壊兵器有りと決めつけてイラクに攻め込んだアメリカの正しさとは同じ物、或は根拠の無いまま攻め込む様な愚行とは表裏一体とも思えます。一切の正しさと無縁なフランス映画と正義のカタマリアメリカ映画、どちらにも困ったなと思いました。
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