たまたま、他所の大型液晶テレビで見た所為でしょうか、それともプリントに補修でもされた所為でしょうか、こんなに綺麗な画面を初めて見ました。
もう何度もテレビで見ているはずなのに最後まで見たのも初めてです。綺麗な画面の御陰で黒沢の名作を初めて最後まで集中して見る事が出来ました。
今までは、ぼやけて何が映っているのだか分からない画面と何を言っているのか分からない台詞とで、中々最後まで集中して見る事ができませんでした。
映像で全てを語る事が出来れば良いのですが、妙に説明的な台詞に頼らないとその筋が分かりません。ですが肝心な台詞が聞き取れません。イライラして見続ける気が失せてしまう事が多かったのです。
前に見た時の事を忘れて期待をして見始めるのですが、あの音楽とも効果音ともつかないプリミティブな音と聞き取れない台詞を聞くと、うんざりしてしまいます。
名作に誰もケチを付ける人がいないのであえて言わせて頂きます。
黒沢映画は、音が悪すぎます。
昔の映画だから仕方が無い。昔の機械ではろくな音が取れなかった。
そんな事はありません。
戦前のハリウッド映画の音の良さは圧倒的です。周波数やダイナミックレンジははるかに狭くSN比も悪いはずです。けれど世界の端のどんな場末の小屋でも明瞭に台詞を分からせようとの使命感みたいな物を感じます。
周波数帯域などの数字では計れない音のクオリティという物が明らかに存在します。
その点で黒沢映画はわざと乱暴に見せる音作りである種の効果を狙っている様にも見えますが、
実際には無関心を通り越して投げやりにさえ思えます。
戦前でも都会の大映画館には米国製の最新のシステムがリースされていました。羅生門は1950年の製作だそうです。終戦後5年、再生側に出来て録音時にはそれが出来なかったのでしょうか。
羅生門の評価が海外で高いのは日本語の台詞を聴く必要が無いからではないかとも思います。
七人の侍は大好きです。面白さに最後まで一気に見てしまいます。でもあれも台詞が聞き取れません。用心棒はどうだったかな思い出せません。
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