映画の音楽では無く、音楽の映画について。
IGAさんの好きな映画、’ハーダーゼイカム’は私も大好きで、ジミークリフのLP・ハーダーゼイカムも極くお気に入りの一枚です。
ルイ・マルの映画も幾つか上げましたが、ジャズと言えば、’真夏の夜のジャズ’を上げていませんでした。後半の’幻想的’というか、独りよがりというか、フリーって奴がどうにも苦手な所為です。
でも苦手な所より、大好きな所の方が遥かに多い。
音楽そのものも素敵ですが、イベントのスケール感が大好きです。
芝生の上に折り畳みの木の椅子を並べた客席。テント張り、一生懸命おしゃれして来た黒人の女の子たち、日本で言えば夏の夕方花火を見るのに出かけるような感じでしょうか。大理石やシャンデリアなんか無くても、アニタ・オディは帽子がとっても素敵です。
昨今の大規模なイベントにはウンザリです。
フリージャズが苦手とは申しましたが、それ以外の音楽の解りやすくて魅力的なこと。狭義のジャズの内には入らない、マヘリアジャクソンやチャックベリーの所為ばかりではないと思います。
ジャズがアフロアメリカンに取って身近なポップミュージックでなくなってから、私に言わせれば御ジャズになった後育った私に取って、難しくて高尚になる前のジャズの魅力を体感出来る良い機会でした。
ずーっと後になって、父親が昔見た時の感想を聞きました。
ジャズエイジの寸前に生まれた彼に取って、戦後暫くまで、風俗としてのジャズは疎むべきものだったようです。
真夏の夜のジャズを見て初めて、風俗としてで無い音楽としての普遍性を持つに至ったと感じたようです。
丁度この映画を挟んで対照的な感想が面白く感じました。
大衆の近くに有ったジャズと芸術を志向するジャズのどちらに価値を認めるかは私の中でも時々で判断が割れます。どちらかと言えば、難しいものより判りやすいものの方が好きです。
もっとずっと身近なものだったと言えば、ジャズなんかに興味は無いけれど、ダンスミュージックの好きな人達に、いきなり君達のダンスはヴォードビルからミンストレル、更に西部劇のメディシンショウにまで繋がっているんだ、なんて言っても相手にされないのは当然ですが、リナ・ホーンの’ストーミーウェザー’を見せたら
自分のダンスも長く続く歴史の小さな結果だと思ってもらえないでしょうか。
中々見る機会の無い映画かも知れませんがアフロアメリカンの音楽やダンスに興味のある人全てに必ず見て欲しい映画です。(好きな映画というよりは見て欲しい映画と言うべきですね。)
ダンスやコメディ、そして宗教まで、広い範囲でアフロアメリカン自身に身近だったブラックミュージックを知ってもらうのには、映画’ブルースブラザース’を欠かす訳には行きません。
ダンスやコメディと言ったショウに繋がる例としてキャブキャロウェイを、宗教に繋がる例として、J・Bの説教を是非見て欲しい。でもこういった建前が無くても、誰に見せても必ず楽しんでもらえる映画です。(狭い意味での映画としては最低の出来ですが、大好きです)
白人の側からのブラックミュージックに対する敬愛の例としては’ザ コミットメンツ’も欠かせません。音楽が素晴らしいし、映画としての出来も良い。アイルランドからの一方的な思いを形にした映画ですが、現在のブラックミュージックにはアフリカからの他に賛美歌やアイルランド歌謡も少なからぬ影響があります。
あぁ、そうそう。最近では’レイ’が出色の出来だと思います。’ドリームガールズ’をまだ見ていません。
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