ジェイレノズガレージでは毎回、興味ある車が取り上げられますが これは凄いっす。ただのロールスロイスじゃ有りません。ロールスロイスはロールスロイスでもスピットファイアのマーリンエンジン付きです。戦争中P-51Dムスタングの為にパッカードでマーリンエンジンを作っていたのは聴いた事が有ります。(ムスタングってアメリカが企画した戦闘機じゃ有りません。イギリス軍がアメリカの会社になんでも良いから早く作れるの頂戴と発注した戦闘機です)飛行機のエンジンを車に載せようとすれば、ギアボックスはどうするんだっていうのは当然思いつく困難ですが、他にも凄い所は沢山あって、興味深いのは新しい部品との組み合わせです。ウェバーのダウンドラフト(インテークマニフォールドも3Dプリンタで作ったみたいです)にステンレス製のエキパイ、ディスクブレーキ、黒いヘッドカバーと赤い文字、新しい部品と本来の部品との組み合わせが絶妙です。古いものに本来の時代とは違う部品をつけてもまずロクな格好にならない物です。けれど、このエンジンはため息が出るほどカッコが良い。センスが良いなぁ。飛行機用のエンジンは遥か昔から4バルブだったという事でしょう。ステンレスエキパイの入口が少し扁平になっている所はF1やmotoGPなど最新のレーサーにそっくりです。大戦当初1000馬力が当たり前だった戦闘機のエンジンが大戦末期には2000馬力になっていきます。日本でもアメリカでも新しく大きなエンジンを作って対処しました。けれどムスタングはエンジン自体を変えずに過給機などの開発で馬力を上げました。ムスタングが大戦中の最優秀機と呼ばれスピットファイヤが大戦末期まで活躍できたのはこの所為です。過給機を外して自然吸気にしたって自動車には十分なパワーであることも想像できます。
追記
話は飛びますが、今日チャーチルの映画を見ていたら、ルーズベルトにP-40をおねだりしている所が出てきました。この話が新しい戦闘機の開発に繋がります。P-40を頂戴って話ですから最初はムスタングもP-40と同じアリソンエンジンでした。けれどアリソンエンジンはアメリカ軍機製作に回されて、他所の国の戦闘機には使わせて貰えません。仕方が無いのでイギリス製のマーリンエンジンを載せたらこれが良かった。アメリカでもマーリンエンジンを作ろうって話になりました。普通は発注者たる軍の作った要望、諸元に基づいて軍と馴染みの会社が戦闘機を作る訳ですが、イギリスの切羽詰まった要望に応じてくれたのは実績も無い新参の会社で、おまけに経験もない会社の社長は100日で作りましょうと見栄を切ってしまいました。こうした特別な条件の中、よその国の注文でよその国のエンジンを乗せた大戦最優秀機が誕生する訳です。
キャブレターでなしに過給機の着いた本来の姿も見て下さい。
過給器については以下の動画を