呆れる程何度も聴いたオールマンのフィルモアやクラプトンのレイラと同じ様に繰り返し聴いた訳ではありません。だのに今になって新しいCDを繰り返し聴いています。
暫く前にテデスキ・トラックスバンドのライブを聴いて当代随一と感心しながら、どこかに違うと感じる物が有りました。ついオールマン・ブラザース・バンドと比べてしまうのです。何かが違うと感じるのに思い当たるバンドがもうひとつ、デラニー&ボニーです。テデスキのボーカルにボニーを思い起こす所があった所為かも知れません(そりゃボニーは白人初のアイケッツ、凄いです。今までテデスキをジャニスやボニーと比べようとは思っていませんでした。けれどテデスキは随分上手くなりました)。本来テデスキ・トラックスは他と比べる必要の無い良いバンドです。彼らに昔のバンドの何かを期待する方が間違えています。テデスキ・トラックスのリズムセクションはホーンセクションと同じくべらぼうに上手いです。音が厚くて正確です。超技巧と言って良いかも知れません。南部のうねりみたいな物は感じますが、複雑すぎて明瞭とは言えない所が有ります。(それはあえて狙った音作りでしょう)どちらが上手いかって問題じゃないんです。
デラニー&ボニーのリズムは厚くて正確なのに角が丸くて溜めが有ります。これがレイドバックって奴でしょうか。そしてなお明瞭です。こもった音で聞き分けるのが難しかったCDが新しい音源になって少し判りやすくなりました。
この土台にそのままエリックとデュアンのギターを載せるとレイラが出来上がる訳です。母親の胎内で聴いた心音は忘れてしまいましたが、レイラで聴いたリズムセクションとキーボードが私の中にこびりついていて、テデスキ・トラックスとつい比べてしまうのかも知れません。
クラプトンはブラインドフェイスのアメリカトゥアーの前座としてデラニー&ボニーを呼んだのですが、南部の音に惹かれて、自分のバンドを辞めて彼らのバンドに加わります。そうした時期のイギリストゥアーがこのレコードだそうです。その後、クラプトンがバンドのベース・ドラム・キーボードを丸ごと引っこ抜いて作ったのがデレク&ドミノスです。レコードジャケットの写真からアメリカ録音だとばかり思っていました。イギリスでアメリカ南部の薫りを売りにする為のジャケットだったのですね。知りませんでした。アメリカの景色の中にロールスロイスを置いたこのレコードには、アメリカのバンドがイギリスに来たトゥアーなのですから、イギリスの景色の中にアメ車を置く手もあったはずです。アメ車の案は月並みで絵とすればこのレコードに部があると思いますが解りにくい気もします。
元のレコードの音が厚いのは良いのですが楽器の分離に難があって良い録音と言い兼ねました。最近買った4枚組CDはリマスターで少しだけ音が良いみたいです。再生する機械も高校の頃よりはマシなはずです。聴く機会が増えたのは良くなった音の所為もあると思います。
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