昔、スピーカーの自作と言えばまず20センチのフルレンジを買って、箱を作る事だった時期が有りました。密閉箱の容量やグラスウールの詰め具合、バスレフポートの調整に一喜一憂して、次に考えるのはツィーターの追加です。クロスオーバーポイントをどこにするか、減衰カーブは6dbか12dbか、そもそもフルレンジの上を切るか素通しにするか、能率はどうやって合わせるか、手を掛ける所は沢山有りました。色々なツィーターがありましたが、ツィーターを付けましたとの効果が一番分かりやすかったのは、ヤマハのJA-0506だったと思います。同じ様に分かりやすい恩恵の例としてはJBLのD130に075を足すのも効果的でした。叩いたシンバルの厚さが分かるツィーターとの評判が有りました。それがいつしか、いかにもツィーターを付けましたなんて音がするのは駄目だなんて言い出す人がいて、JBLの2405を見て彼らが言うのはこれの事かと思いました。トランジェントの良さではESSハイルドライバーなんてのも有りました。(コーン型のウーハーが追いついて行けてない気がしました。)ここまでは私にも分かる気がしました。
可聴範囲の外が大切だなんて言い出して、パイオニアのPT-R7を足す人が現れました。この辺りから私の耳には差が良く分からない事が増えました。(分かる事もあるんですけどね)昔、JA-0506を付けて喜んでいた時程、事は簡単でないらしいと思いました。
それから何十年もして、日野オーディオでAXIOM80の2本入りを聴かせてもらった時です。ついでにDecca・LONDONも聴かせてもらいました。これにはびっくりしました。ヘレンメリルのかすれ声がこんなにきめ細かくて綺麗に聞こえたのはそれまでに無い事でした。他とはまるで違う音だとすれば間違った音なのかも知れません。たとえ嘘でも綺麗な音の方が良いと思って仕舞いました。そういえば、かのマークレビンソンもHQDシステムではDeccaのKELLYを使っていたな。世間で騒がれる事はないけれど、Deccaのリボンツィーターは狙い目かも知れない。何より私には効果の分からないツィーターより、私にも効果の分かるツィーターが必要じゃないか。以来Deccaのリボンツィーターを狙っていました。
それがほとんど同時にオークションにDeccaKELLYのペアが二組、ハートレイのウーハーが一本出て来ました。これで我が家のESLと合わせればHQDシステムが出来る、ESLのダブルスタックは出来ないけれど、ハートレイ、クォード、デッカの頭文字HQDには手が届くかも知れない。
これもESLを手元に置いてその素晴らしさ、可能性と限界を感じていたせいです。(1本で使う良さも勿論ありです)狙っていたハートレイはコーンにひびが入っていて諦めました。
狙っていたKELLYを手元に確保出来たので自慢しちゃいます。Deccaのツィーターはいいぞぉ、少なくともLONDONの高音は聴いた事の無い音がしたぞ、なんてね。KELLYにはローカットが入っているみたいだから、繋ぐだけで使えるかも知れません。でも能率が低いので全ての人に使いやすい物でもないと思います。マルチアンプの使用が前提にもなりかねません。いつか ハートレイのウーハーやESLのダブルスタックもやってみたい物です。
20センチのフルレンジでは、We755やLE8T(そのプロ仕様2115)の評判が高い様に思います。最近ではドイツ製の古い物を捜して来て喜んでる人もいる様です。私の聴いた中では別のスピーカーが一番でした。この件については又別の機会にお話したいと思います。
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