’ムーミンが住む森の生活’なんて書いてあると、女・子供向けかと足が遠のいてしまう大人がいないかと心配です。そんな事はありません。いい大人にこそのぞいて頂きたい。
宇都宮はちょっと遠いし、美術館が駅から離れているのも辛い所です。鎌倉の近代美術館よりはちょっと遠いけど行けない所じゃありません。騙されたと思ってご覧戴きたい。
ふんぞり返って人を見て、ヘヘーっと人を這いつくばらせるのが建築だとでも考えているのではないか、だとしたら随分嫌な奴だと思っていた岡田新一ですが、彼の設計にしたら意外に軒の低い建物です。個々のデザインに文句の無い訳ではありませんが、世の中の動きや谷口吉生の一連の美術館などには影響される所があったのでしょうか。大きすぎないのも良いし、全体の規模やアプローチの整備には好感がもてました。計画段階で使う側から学芸員の方々が文句を言う機会もあったそうです。そこらも良かったのかも知れません。
フィンランドのデザインだの建築だのと言い出す前に、国土や風景が油絵で示されて、スウェーデンとロシアに挟まれた中でアイデンティティーの核になった神話の説明がありました。この手の前置きは面倒に感じる事も多いのですが、前置き一つ一つが十分に魅力的です。サーリネン(父)にアアルト、カイ・フランクにマリメッコ、後は皆様の期待通りです。
去年秋の目黒美術館・降旗さんや、今度の宇都宮美術館・橋本さん、お仕事に触れて感じる所がありました。あれだけの物を企画して飛び回って交渉して・集めて・見せてそれを責任持って返す事がどんなに大変か。箱ものばかりで中身が無い、ハードばかりでソフトが無いと馬鹿にして来ました。日本の美術館、人もソフトも育ってます。彼女達の仕事を評価するかしないか社会の側が問われていると思いました。
がんばれ日本の学芸員。
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