ウォーレン・オーツの出て来る映画が好きだと言えば、ニヤッとする人が百人に一人か二人はいないでしょうか、千人に一人かな。数は少ないけれど確実に仲間がいます。これに関しては私一人の酔狂とは思えません。
さんざんチンピラ役をやった上でしか出来ない男の世界などで無く、女の人には見向きもされない どうでも良い事を大事にする世界があるとでも言えばいいのでしょうか。
けれど夜の大走査線やワイルドバンチのチンピラ役の時にファンだったかと言われれば自信がありません。ガルシアの首やデリンジャーを見た後だから言える話なのかなとも思います。
なんでこんな話をするのかと言えば’レスラー’という映画を皆さんに見て欲しいからです。どんな役をやってもチンピラ臭の抜けなかったミッキー・ロークの映画です。役を演じるというより、俺って格好いいだろうと言った子供染みた所が強くて、ミッキー・ローク本人をチンピラと決めつけていました。撤回します。もうチンピラなんかじゃありません。役に没頭しきっていて子供染みた所は微塵も見せません。以前の映画ではボクサーの役なのに、とてもそうは見えない猫パンチ野郎でした。そんな悪口は今後一切言う気を無くしました。いつの間にか立派じゃないし情けないただのおじさんになっていました。到底俳優の演技には見えません。落ちぶれたプロレスラーそのものにしか見えません。役に成り切るという事で言えばこんなに凄い映画を他に見た事がありません。
デリンジャーやHope and Glory(邦題:戦場の小さな天使たち)、An Education (邦題:’17歳の肖像’)と同じ様に話題にもならず、誰も褒めないけれど是非皆さんに御薦めしたい映画です。
前に見て暫く廻りに嫌がられる程薦めていたのですが忘れていました。二日の深夜にテレビでやっていたのを又見ました。事前に知っていて、このブログで伝えられれば付き合ってくれる酔狂な人も一人くらいはいたかと思うと残念です。
ビデオ屋さんで見かける事があったら、是非見て下さい。