野中の一軒家では心配有りませんが、沢山の家が軒を連ねて並んでいる都市部では、隣家からの延焼の危れが有ります。そのため敷地境界又は道路の中心線から、1階で3m、2階で5mの範囲を延焼の恐れのある部分と呼んで、防火戸の使用を義務づけています。都市部で敷地境界から3m離して家を建てる事の出来る例は少ないと思います。大部分の家の大部分の開口は防火戸を使う必要があります。
具体的には20分火にあぶられても火を通さないこと、ガラスが割れても危険な破片が飛び散らない様に厚さ6.8㎜の網入りガラスを使う事、だそうです。こうした法律が、沢山あった木製窓をアルミサッシに代える事になった一因だと思います。
アルミのサッシ自体は普通の物と差がある様には見えません。けれど断熱を考えてペアガラスにしたいとなった途端に防火戸は高いものに付きます。3㎜+3㎜の普通のペアガラスに比べて6.8㎜+3㎜の防火戸用ペアガラスが高い所為です。日本の防火規準に拘らなければ輸入のペアガラスサッシは日本製よりずっと熱的には高性能で廉価です。(網入りガラスは視覚的に邪魔です。最近は網の入らない防火ガラスもありますがこれも高価です。)
つまり日本の防火規準が外国製の安いペアガラスの参入を妨げている訳です。非関税障壁って奴だと思います。それでも高い日本の防火戸が延焼を防ぐなら我慢もしましょう。
ニュースでは認可済み日本製防火戸を試験した所、20分も保たず、アルミ枠が曲がって火の侵入を許したそうです。確かに木のサッシは燃えるけれど、燃えるまでにかなりの時間が掛かる、それに比べてアルミサッシは火にあぶられれば一遍でひん曲がる。どちらが安全かは分らないとは昔から業界内では言われて来たことです。立派に見える網入りガラスも火にあぶられると普通のガラスより割れやすい、ガラスと鉄線の熱膨張が違う所為です。
日本の建築費が高いとの非難が有りますが、ウォシュレット付きの便器や非関税障壁に守られたサッシなど日本だけにしかない条件も大きく影響しています。
何年か前にシックハウスを防ぐため色々な規準が出来ました.ドイツでは遥か昔から壁紙などに厳しくて、紙製か木質のチップを使うか、塩ビを使う場合は量を制限されるなどしている様です。対策済みと称して日本では昔と同じ様に塩ビのビニルクロスが売られています。糊を変えたから大丈夫だとの事です。国土交通省のお墨付きです。
これも試験をしてみればどうなるのか怪しいものです。シックハウスとは別の話ですが火事で燃えると塩ビはダイオキシンや他の毒ガスを出すとの意見もあります。
とかく日本ではお上に認可なりの責任を任せてしまいますが、お役人は業界と接する事はあっても、一人一人の国民に面と向かうことは有りません。認可を取る為には試験や手続など莫大な手間とお金が必要です。役人が金も払わない国民の側に立つ仕組みは見当たりません。お金は掛かっても事態が解決される事は少ないと思います。国に任せれば自分でお金を払う事も無いと考えています。こうした事が積もり積もって日本の建築費を高くして、シックハウスも火事も防ぐ事が出来ない社会を作っています。結果的には高い物を買わされる仕組みに気が付いても良い気がします。
己の身を守る為には、自分の責任で判断すべきだ。もし出来なければ判断を下せる専門家を自分で雇うべきだ、などと言えば、自らを守る為 銃の携帯を許し、自己責任と称して国民階保険にも背を向けるどこかの野蛮国家の様だと嫌がられるかも知れません。
けれど、役人に全てを任せていいのでしょうか。