琵琶湖の岸にあるヤンマーの工場について、跡地利用計画のコンペだったと思います。1989年ですから20年以上前の話です。
この話を持ち込んでくれたウルトラモダンの菅野君のたてた基本的な狙いは、レジャーボートで行ける目的地を作る事。係留している場所自体が一日遊べる目的地になること。レジャーボートを持つ事がどんなに豊かで格好の良い事かが実感出来る素敵なウォーターフロントを作る事。これがレジャーボート全体のイメージと売り上げの向上に繋がるという提案でした。
2週間で全体の計画をまとめろ。建築の計画よりこの施設で何をするのかを説明するプレゼンテーションが大事だと言う事でした。
魅力的なウォーターフロントの例を調べて、具合の良い写真を集めました。マリナデルレイやサンアントニオのリバーウォーク。どんなイベントがボードウォークを活性化するかと言った写真を集めて、そうした要素を配置計画の中に並べて行きました。
コ・ジェネレーションやハイブリッドと言ったハイテク志向が企業イメージにも貢献するなんてホラも吹きました。コ・ジェネがどんな物か正確に分ったのは少し後でした。勿論コンペにはあんまり効かなかったみたいです。
反対側の駐車場からブリッジに上がり、道路と運河を渡りながら本部棟をくぐると飛び出たデッキの正面にシンボルタワーが見えます。階段を降りると本部棟前のボードウォークに出ます。更に跳ね橋を超えてボートを係留する桟橋に、保管用のボートハウスにガソリンステーション、ファクトリーと続きます。
敷地を見る事もなく2週間で、でっち上げた私の計画が良かったかどうかは分りません。けれど、河口近くの川岸に違法係留したり、漁港の隅に置いてもらったりしているレジャーボートにきちんとしたマリーナを作るというのは、長くモーターボートを売って行こうと言う企業にはあっても良い投資だったと思います。
跡地にはレストランを集めた複合商業施設が出来た様です。