今まで、北大路魯山人の器が欲しいと思った事は一度も無い。私の趣味とはまるで別の世界の話だと思っていた。
本人に特別な興味もないけれど、あちこちで読み聞きした話から、随分嫌な奴じゃないだろうかと勝手に思っていた。
食べ物の話にも食器の話にも虚栄心が強くて、何を根拠に、そんなに偉そうなんだか自信があるのだか分からない。むしろ自信が無いからだろうか、他人を怒鳴りつけて虚勢を張らなければ世の中を生きて行けないと思い込んでいるような人間性を感じていた。
積極的な興味も無く、良く知りもしないのに、何でこんなにマイナスイメージが強くなってしまったのか分からない。
根拠の無い理不尽な話しだと思う。本来人様に言える事では無い。
(出来上がった作品から、その人と、なりを感じてしまうのは良くある事だけれど)
昨日テレビを見ていて思い出した。
漫画を元にした’テレビドラマおせん’の建物はとっても春風萬里荘に似ている。多分あそこじゃないかと思う。
笠間にある日動画廊・春風萬里荘は、北大路魯山人が住んでいた家を移築したものだ。
そもそもは更に古い民家を魯山人が鎌倉に移築したものらしい。
イサムノグチも結婚後暫く居候していたみたいだ。
古い農家に洋間と茶室を足した建物も良いけれど、広い庭も含めて見渡す限りの辺り一帯がとても良く手入れされている。
日本人誰もの心の底にある理想郷ってこんな形じゃないかと思う。
食器や食べ物、知りもしない人となりについて、語る資格もないけれど、春風萬里荘についてはお薦めしたい。
もし、日本人の考える理想郷に興味を持つ人がいたら是非案内したいと思う。