それまで乗っていたルノー5 tsは、パワーが有る訳でも無いし、固いサスペンションや太いタイヤもない。速く走れる訳じゃない、世の中で言うスポーティーとは違う車だった。
けれど、良く廻る小さなOHVと、ストロークの深いサス、クロースしたミッションとでシフトを繰り返し、アクセルで前後の荷重を考えるのが本当に楽しい、運転する事がスポーティーな車だった。
それまでバイクに乗るのが楽しくて、車なんかに乗ったらバカになると思っていた。こんなに運転の楽しい車があるとも思わなかった。
車体やエンジンに一切の故障は無かったけれど、オルタネータと言った補機類、パワーウィンドウやクーラー、ファンがいつも壊れて最後には持ち切れなくなった。
次の車は年取った親を乗せるのに、4ドアで大人4人がゆっくり乗れて、クーラーが効いて故障しない車を捜した。最初は国産を捜したけれど、故障しない国産車は中古でもあまり値段が落ちない。
300万を超える車が5年か6年で1/6以下になったりするのはシトロエンぐらいだった。
同じ輸入車でもベンツやBMWやアルファと言った人気車にこんな事はあり得ない。
良く壊れる変な車といった評判は一度付いたら中々取れないのだろう。
お店の人が、今のXantiaはそんなに壊れないよと言うのを信じることにした。
クーラーのガスが漏れて、二度程足した。天井の内張がはがれて垂れて来た。6年乗って、壊れたのはそれだけだった。
前のサンクのように運転が楽しいことも無いし、これ見よがしの高級感も無いけれど、いつでも安心して乗れる上質な車だった。他の車に乗る度に自分のXantia に乗りたいと内心思っていた。
ここへ来て、FサスのストラットからLHMが漏れだした。ブレーキホースからタイミングベルト、消耗部品も替える所が色々出て来た。 リアフェンダーも私がぶつけたままだ。屋根の塗装も禿げて来た。去年の夏、大人5人で茨城に出かけた時にはクーラーも少し頼りなかった。
全部直そうとすると結構なお金が掛かる。車検も近づいて来た。お金があれば手を入れて乗り続けたいけれど、94年型だから13年目。残念だけれど、もっと安く済む次の車を捜す事にした。