ルイス・カーンの息子の作った映画を見て来た。
渋谷のQ-AXで9時15分からのレイトショー上映中だ。人気があるようで朝10時からの上映も追加されたようだ。
ハチ公から道玄坂に行く角のlikesKIOSQUEか渋谷のツタヤで前売りを買えば、1800円のところが1500円だと言う話だったのだが、30分前には全席指定の前売りは売り切れで、あわてて行った映画館でも残り10枚程だった。
土曜日と言うこともあって結構な人気だ。建築って人気あるのかな?
人間にとって、大切なのは、家族や家族との生活、それを支える経済や、個人個人の趣味嗜好であって、’建築’などという言葉を持ち出すことでそれ以外の何かを優先するような人間がいるとすれば、およそ信じてはいけない。
’建築’などと言う言葉を持ち出す事で変えられる物事は一つもない。
人の役にも立たない’建築’ではなく、人様の役に立つ建物をつくるのが私達の使命だ。
建物を建てるお客にとってだけでは無い、建物の設計をする人間にとっても家族や経済を崩壊させてまで作らなくてはいけない建築などは、この世にあってはならないはずだ。
建物を作る時にも、建築などに興味の無い人と同じ土俵で話をしたいと思って来た。建築を志した頃の自分勝手な思い込みを排除する努力をして来たつもりだった。
けれど、映画の中の’建築’は美しい、不覚にも何度か涙が出そうになった。
建築を全てに優先することなど許されない。でも世の中には神様に許された人もいるのかもしれない。
神様に許された’建築’を、建築の好きな全ての人と、そうでない全ての人に見て欲しい。
建築を愛する全ての人といった決まり文句は避けたのだけれど、今回は使っても良かったかもしれない。
設計者の独り善がりが沢山の人の普遍的な価値に繋がる事は稀だ。けれどその普遍的な価値に繋がらないひとりよがりな建築も設計をする人間の家族と経済を犠牲にして成り立っている。カーンの建築だけで無く、道を踏み外す前の姐歯の仕事だって彼の経済的犠牲と献身によって成り立っていたはずだ。
ダッカの国会議事堂の前で建築家ルイスと言われてバラガンと答える辺りは御愛嬌かも知れないが、少なくても、バングラデシュの人はルイス・バラガンを知っていた。日本の国会議事堂の前でバラガンを知っている人がどれだけいるだろうか。
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