トヨタが愛知万博の手前あたりに車のミュージアムを作っているのは知っていた。自分の所の2000GTやTOYOTA-7はともかく、デューセンバーグからルーズベルトのパッカード、ベントレイ4.1/2、ロールスではシルバーゴースト、ドライエと相当な力の入れようらしい。
一度見たいとは思っていたけれど、こちらは知らなかった。名古屋市内、旧豊田紡績工場跡のトヨタテクノミュージアム産業技術記念館。
レンガ積みの壁に木造トラスのノコギリ屋根、昔の工場そのまま、広大なミュージアムにしてある。(名古屋駅からも大して離れていない。)
入り口脇のスペースに歯車やカム、発電、いろいろなメカニズムを子供にも遊びながら学べる部屋がある。その展示にお金の掛っていることに驚く、あのケチンボトヨタがと、びっくり。
けれどこれは、御通しにも刺身のつまにもならない、その後の繊維機械館の膨大な事と言ったら、上野の博物館も科学博物館も貧弱すぎて比べられない。有史以来の紡績から、全てを実物で説き起こす。産業革命以来の機械の発展も全ては紡績機械と自動織機の実物で再現するぐらいの意気込みだ。その質と量、まじめさは他に例を見ない。もう少しアトラクティブでもとは思うけれど、それもトヨタの体質だろう。
あまりの量と内容の濃さに精も根もつきはてて、順路を進むと自動車館はもっとでかい。ここまででまだ前菜かと思った途端、腰が抜けそうな気がした。巨大なプレスでボディパネルを打ち出すところから、それを全自動でロボットが溶接するところまで、他にもとても書き切れないほどの機械が工場そのままに動いている。興味のある展示も山のようにあるのだけれどとても見きれない。
外国の車のノックダウンで始めたのとは訳が違う。車以前に機械工業に対する膨大な蓄積があったからこそ、今日のトヨタがある。多分そういう事が言いたいのだろう。
恐れ入りました。
トヨタ恐るべし。
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