house-Fやhouse-SAも、色々な事を考えるきっかけを与えてくれる建物ではあるけれど、先生のお仕事の中でどれが好きかと問われれば、水無瀬の町屋と代田の町屋の方がずっと好きだ。水無瀬を初めて見たのは、ステレオサウンド誌のリスニングルーム拝見のような記事だった。高校か浪人のころだ。どこかの大先生が建てた最新のデザインには見えなかった。表面の仕上げはラフだけれど、身近で穏やかで、個人の創意によらずにどこか自然にありそうな、(アノニマスなどという言葉を知ったのはずっと後の事だった)でも良く見ると今までに見たことのない構成的な代物で、無責任に放り出された様でいて、実は全体を強く何かが統制している、どこにでもありそうで、どこにも無い家だった。建物を作った人より住む人の趣味を強く感じた。ただ建物を作った人の趣味と住む人の趣味の境がどこなのか分からないとも感じた。あぁこんな家に住みたいなとも思った。
その気持ちはhouse-SAを拝見した時の建物に対する興味とコレクションに対する興味が私の中で別の所にあるとすれば、器やおもちゃに感じる興味と同じ部分から出てきたものだと思う。
記事の中で設計した人と、住む人が同じことは分かったけれど。大学に入ってからも、目前の厳しそうな先生とあの具合の良さそうな家とが繋がったのは大分後の事だ。
記事の中の三菱の16センチ二発にツイーターを足したラワン合板のスピーカーは東工大の研究室で今も使われていた。若い人には評判が良くなかった。可哀想に。今の音楽をガンガン鳴らすのには向かないけれど、上手く使えば良いスピーカーなのに。
KAWAさん 明けましておめでとうございます。
アノニマスということ こんな世の中だからこそ、大事にしたいものですね。マティスの最晩年の仕事であるロザリオ礼拝堂に描かれた聖ドミニクスのタイル壁画がこの言葉と共によみがえってきました。
今年も THINGS THAT I USED TO DO 楽しみにしております!!
投稿情報: いのうえ | 2005-01-02 11:43
いのうえ様、早々のコメント有り難うございます。皆さんに楽しんで頂ける話題を提供したいとは、思っているのですが、どうにも、了見の狭い話になりがちです。申し訳ありません。
懲りずに、たまには、覗いてください。
投稿情報: kawa | 2005-01-02 19:20