惜しかったとも、善戦だとも思いません。スコア通りの惨敗です。けれど手に付かないボールにプレッシャーを掛けられてオタオタするオールブラックスなんて初めて見ました。浅くて速いディフェンスが、効いていたのだと思います。ここのコメント欄はNZ以外の人からの、おかげで見る事が出来た有り難うと言った謝辞が多いのですが、他のコメント欄やNZでの報道はこのチームは2本目(Bチーム)でさえ無い3本目(Cチーム)だとの言い訳ばかりです。一週間前、オーストラリアとやった本気の試合の為の23人のうち22人がイングランドとの試合に向けて日本を離れています。バリバリの1本目でない事は明らかですが、2本目でさえ無いなんて言い訳を何故するのでしょうか。NZが初めて日本に小さな脅威を感じたせいだと思います。7人制で日本に負けた時も7人制の代表をオールブラックスと呼ぶのは止めようなんて情けない恨み言を言ってました。KiWiの肝は思ったより小さいみたいです。オールブラックスがホンチャンではないのは確かですが、それを言うなら日本だって核になる堀江、マフィ、レメキ、松島を欠いた飛車角落ちです。フルバックは2本目の野口まで怪我で3本目か4本目です。なまじの善戦でなかった所為で悪い処 修正すべき点も明らかになったし。日本にとって有意義な試合でした。
フルバック山中は、キックにパスにタックルに、目の前に来た最低限の仕事はしていましたが、事態がチョット変化した時に、次に来る危機を想定出来ない。だから走らない、これはダメだと思います。互いに戦う二つのチームの選手が互いに守るべき責任を果たしていればトライは生まれません。誰かがポジションに与えられた責任以上の仕事をした時にトライが生まれます。こうして一人で事態を変えることの出来る選手は限られています。この試合では福岡ぐらいでしょうか。堀江、マフィ、レメキ、松島、はそうした力を持っています。彼等を見られなかったのが残念です。(マフィが心配です。どうしてるでしょうか?)
そうした特別なプレイが出来る人が尊いのと同じように当たり前の責任を果たすことの困難も痛感しました。目の前に突っ込んで来る、195センチ120キロを毎回一人で止めろと言うのが守るべき最低限の仕事です。ロック二人とセンター二人に最低の役割以上の何かが見られなくて不満を感じていましたが、彼等の果たす役割の大きさに感嘆しました。センターには昔の森や朽木の様な特別な何かを期待してしまいます。それが無いのが不満でしたが、森に120キロの突進を80分全て止めろなんて要求をするのは無理があります。ラファエレとツポウは何度か抜かれましたがよくやっていると思い始めました。
半分が日本人に見えない。アイランダーに見えるとの指摘が日本以外からもありました。それに対して、それを言ったらNZやオーストラリアだって同じだとの反論がありました。ちなみに日本のスターティングメンバーのうち日本国籍を持たないのは二人だけです。NZには元からマオリと言うポリネシアンがいてマオリ・オールブラックスが作れるほどにラグビーが得意です。ただオールブラックスの中のアイランダーが全てマオリではありません。サモアやフィジーには大きな産業などありませんから、NZに来ているラグビープレイヤーも多いのです。
NZの狭量を笑う形になっては心外です。大事なオーストラリアとの定期戦を日本で開いてくれた事、大事なイングランドとの試合があるのに、オールブラックスと名乗るチームと日本の試合を正式なテストマッチとしてくれた事。どちらもラグビー大国NZゆえの太っ腹と言えるでしょう。まず大きな感謝が先だと思います。