日本の南ア戦勝利ほどではありませんが昨年11月、アイルランドのニュージーランド戦勝利は大きなニュースでした。何せテストマッチ18連勝の無敵オールブラックスに110年勝った事の無いアイルランドが勝ったのですから。(二週間後にオールブラックスは雪辱を晴らしました。)今回の来日チームはブリティッシュ・アイリッシュ ライオンズ遠征(イングランド・スコットランド・ウェールズ・アイルランド四カ国連合選抜チーム)に主力を取られた1.5軍との事ですが、今期イングランドやニュージーランドに勝った世界3位(4位とも)は伊達じゃありません。主力を取られた残りにもその地力を感じました。
アイルランドは昔から旧インターナショナルボード8カ国の中では強い方じゃなかったし、ウェールズに感じる閃きやセンスを感じた事がありませんでした。NZに見る勝つための精緻な理論にも無縁に見えました。日本より強いけれどラグビーの内容がダサいと思っていました。今回も戦略やセンスに舌を巻く様な事は起きません。ただ一対一、個々の局面での強さが際立っています。こんなに良いラグビーを見るのは初めてです。2試合とも後半ダレたのは日本の暑さと湿気の所為で仕方が無いでしょう。フットボールは本来ウィンタースポーツです。28度の日本でやるスポーツではありません。前半の当たり強さと日本の連続攻撃に耐えた堅守が本来の力だと思います。
一方の日本です。1戦目の後ジョセフHCが激怒したのは当然です。ぶつかりあっての負けは仕方がありません。踏み込んで突っ込まないからすべての局面でめくり上げられてボールを奪われていました。特にロック二人の逃げ腰には腹がたちました。負けた原因は選手(特にロック二人)にあります。2戦目、当たりは目に見えて改善されました。ロックに入ったトンプソン・ルークの奮戦は胸を打ちました。前半のアンラッキーな2トライで負けた訳ですが、前半のトライに繋がったパスカットも、後半攻めきれなかったのも、オフェンスラインの浅さ故と感じました。目の前1メートルにディフェンスがいる所でボールをもらっても出来る事は限られています。そうした状況の中、トライに繋げた松島や山田の個人技は素晴らしいのですが、それに頼るのはおかしい気がします。(松島・山田・福岡の3人は本当に素晴らしい、目を疑う様な良いプレイが沢山ありました。)やたらとキックをするのも如何なものでしょうか。もしキックを多用するなら全員でラインを押し上げるコンセンサスが必要ですが、それがあった様には見えませんでした。攻め手を欠いた2戦目の敗因は指導部にある気がします。
コメント