大阪には何度か行っている筈ですが、人に付いて行くだけだったり、仕事をしただけのとんぼ返りだったりで、全く土地勘がありません。テレビに出てくる大阪は新世界の酔っ払った様なオッチャンかヒョウ柄のオバチャンばかりで偏りがあったと思います。淀屋橋の駅から地上に出て驚きました。東京の日本橋や日銀に似ていますが、ずっと綺麗だと思いました。日銀に似た建物が日銀の大阪支店と分かってなお驚きました。川と高速道路と橋の組み合わせは同じだと思いますが、広くて空が見える所為でしょうか、街の中の川が素敵な水辺を作っています。京都でも広島でも川の水面が人の歩く地表に近くて、川が街を豊かにしています。一方で東京の日本橋は綺麗な景色とは言い難いし、隅田川も水面が遠く、高い堤防で素敵な水辺とは言いかねます。皇居のお堀も千鳥ヶ淵から桜田門、日比谷、二重橋、毎日新聞までは綺麗だと思います。竹橋で高速道路が掛かってくると怪しくなります。近代美術館はかなり大きな建物ですが、大きな公園の隅に建つ便所か何かに見えないこともありません。四谷から飯田橋までの緑の藻で覆われた水面も通る度にどうにか素敵な水辺にならないかと思います。
美術館を出て残り半日を大阪見物に充てようと思いました。最初に通天閣にまで行って電気街を通って日本橋、難波から梅田まで歩いて見ようと思いました。昔の歌で”散歩しましょう、御堂筋でも。梅田から難波まで”と言う歌詞がありました、何十年かして体験する事が出来ました。(難波から梅田までになりました)
日本橋(にっぽんばし)は大阪の電気街と聞いていました。ガード下に小さなお店をギューギュー詰め込んだ秋葉原とは雰囲気が違います。一本入った裏道も広くて、お店も、広さを持て余している様です。それぞれの店の奥は照明も消えて埃が積もっているみたいな感じです。その広さに比べて人が居ない、寂しくて地方のシャッター通り商店街の様です。たまに通るのは中国の観光客ぐらいです。でもそうした緩さのお陰でしょうか、繁盛している様には見えない個人的な趣味嗜好の店も存続が許されている様で面白いと思いました。
黒門市場には昔来た事があったはずです。中国からの観光客に人気がある事はテレビでも知っていましたが、あそこまでとは思いませんでした。京都の錦市場より広い通りが観光客で一杯です。店先で食わせる観光客目当てに、店も商売を変えている様です。魚や乾物などの食材を買いに来ている人は見当たりません。
もっと凄いのが道頓堀で、人をかわしながら進むのに苦労します。東京も外国人観光客が増えて、しょんべん横丁は外国人だらけ、すっかり観光地になってしまったなどと思っていましたが、大阪に比べれば大した事はありません。あの観光客をこのまま大阪で引き受けてくれるといいなぁと思いました。
御堂筋は本当に綺麗な道で、東京にこんなに長くて綺麗な道が有ったかなと思いました。東京は中心に大きな虚とも言える皇居があって、それから放射状に広がる街です。これは幾重にも重ねた濠で外敵を防ぐお城の為の計画です。田舎の城下町ならともかく、政治経済の中心たる巨大都市の計画としては適当と思えません。秀吉の作った大阪は縦横に整理された街を南北に貫く長い軸:御堂筋が通る良く出来た計画に思えます。家康は首都たる江戸の機能をイメージ出来ず、巨大な城下町を作ってしまった。秀吉より田舎者じゃないでしょうか。綺麗な歩道・車道の御堂筋と商店街が平行しているのも便利な計画です。しっかりとした南北の軸と歩いて行ける街の大きさがとても良いと思いました。
道の両側にビルが並べば道路斜線などでスカイラインは単調なものになるはずですが、建物の向きや高さにバラエティーがあってスカイラインに変化があります。特に梅田あたりは空も広く見えて綺麗でした。一方の東京は、古い城下町のまま無計画な膨張をした為、近代的な都市計画が無い、狭くて曲がった道しか無い、水辺に魅力が無い、旗色(はたいろ)悪いなぁとも感じました。
たった半日の感想は的外れも多いでしょう。訂正を積み重ねていく為にも最初の印象を残しておきます。昔、名古屋にも道幅が広くて綺麗だと感心しました。何度か仕事をする事でイメージが変わって来ました、大阪の印象にも変化があるでしょう。
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