以前に台北の國立故宮博物院でも見ていますが、現存6個の汝窯水仙盆の内、5個を一度に並べて見られる機会は二度と無いかも知れません。大阪東洋陶磁美術館の常設展示参観も、出光美術館で砧青磁の竜泉窯鳳凰青磁耳瓶を見逃して以来の念願でした。天目茶碗や朝鮮コレクション等見たい物が沢山あります。家族の入院などでバタバタしている内に3月26日の最終日も間近になってしまいました。新幹線の往復で3万円に躊躇していたら、新幹線の日帰り往復で2万円、3千円の金券付きと言うのを見つけて、23日に出かけてきました。(日帰りでなしに一泊すると更に安い物があります。宿代が増えるはずなのに不思議だなぁ。)
6個の内4個は台北に、一つが大阪に、最後の一つは吉林省にありますが、吉林省のものは大きく削られていて本来の形を残していません。台湾の内一つと大阪の物も縁の一部が欠けたのでしょう。縁全体を削り整えて銅の帯を被せてありますが、かろうじて水仙盆の体をなしていると言えるでしょう。本物汝窯で皆の知っている水仙盆の形をしている物は全て揃ったと言って良い気がします。
ポスターには6点とあります。北宋の汝窯5点の他に清代に成ってから乾隆帝が作らせたレプリカを含めて計6点が一遍に見られます。
展示が良く出来ていて、以前に台北で見たときより仔細に観る事が出来ます。空いていたので何度も戻って見比べる事も出来ました。常設展を見終えて帰って来たら、長蛇の列が出来ていて自由に見比べる事など出来ない様です。良い時に見る事が出来ました。
別の場所には現代の名工によるレプリカもあって、清のレプリカと合わせて興味深いものでした。どちらもとても良く出来ているのですが本物には届きません。届かない所を含めて相対的な価値を感じました。手元の偽物も本物や国をあげてのレプリカには敵いませんが、貧乏人相応との相対的な価値と愛着を感じる様になりました。
本物の台には引き出しがあって乾隆帝の賛辞をまとめた小冊子が入っています。これが美しい。こんなに完璧なレイアウトを見た事がありません、この世のデザイナーと名の付く人全ては裸足で逃げ出す必要があります。小冊子の全ページを並べたポスターに見惚れました。ポスター欲しいなぁ。