南阿佐ケ谷の駅を出て、小さな路地に入って直ぐの、カウンターは10席も無い小さなお店だったと思います。たまたま空いていた席から店主の仕事を見ることが出来ました。家庭用とも変わらない小さな火力に小さめの鍋を乗せて動かしません。じっと見つめていたかと思ったら、隣のタオルの上に鍋を下ろしてしまいました。火の入り方を確かめていたのか、余熱で火を通していたのか判りません。また暫く見つめたまま動かしません。一連のデリケートな作業に驚きました。大きな火力で大きな鍋を煽って五徳の上でガコンガコン言わせながら、鉄のオタマでカンカンと鳴らしたりするのが中華料理だと思っていました。味も近所の中華料理とは違っていました。これは良い店を見つけたと思って2度か3度行ったでしょうか、暫くして行ってみたら無くなっていました。名前も覚えていません。もう10年以上も前の話です。
高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪あたりの飲食店紹介の雑誌を見て居たら、荻窪の潮州と言う中華料理屋が紹介されています。以前は南阿佐ケ谷にあったと書いてあります。移転の時期なども符合する気がします。食べに行ってみました。南阿佐ケ谷とはまるで違う綺麗で広い内装でした。料理はあっさりとお上品です。一皿が1200円か1800円程で、8寸程のお皿の中心に3寸程のお料理は若い頃の自分だったら3口か4口分でしょう。若い男性がお腹を一杯にしようなどと考えたらちょっと物入りです。少なめの料理は火の入れ方による所もある気がします。お腹をすかせた若い人には勧めません。少し余裕のある人に勧めます。それでも世の中で言う高級店より安いかな。
蒸し餃子では台湾の鼎泰豊や香港の飲茶で美味しいのを食べた覚えがあります。焼き餃子は今まで食べた中で一番かも知れません。他もみんな丁寧で美味しかった。ネギやオレンジのソースが薄味ですが絶妙です。
得難い価値が認められて皆んなが相応のお金を払う様になった。・・・良いお話かも知れません。私が気軽に行ける店では無くなりました。目の前で火の入れ方を確かめる事も出来なくなりました。少し残念。
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