坂本先生の新作です。簡単な矩形のプラン、この写真からはシンプルな印象を受けるかも知れません。
とんでも有りません。何年か前の八王子での展覧会では、巨大な模型が既に出来ていました。あれからもずっといじり回して来た家なのではないでしょうか。
住む人や使う人に複雑で使い難いなんて事は無いでしょう。むしろシンプルで使いやすい、何より快適そうな家です。けれど、断面図を考える事が何より好きと公言する先生が、何年も掛けた家です。入り口上のカンチレバーについて、どうやって出来ているのかを考えだした途端に話が違って来ます。コンクリートと木造の混構造で有る事、断面図等の説明が無ければ、構造的な成り立ちをすぐに理解出来る人は少ないと思います。逆にここまで煮詰める過程が簡単ではないと想像出来る人は少なくない筈です。
四方を壁で囲まれてドアを介して繋がって行く普通の部屋がこの家には有りません。(言い切っちゃうと嘘かな)床の高さをずらして行く事で部屋の下に部屋を滑り込ませています。限られた平面の中に何層かの部屋を重ねて尚、全てがズルズルと繋がる一室空間を実現しています.普通の2階建て3階建てであれば階段で繋ぐしかない何層かの空間を一続きのモノにするのはhouseSAと同じ仕組みです。こうした不可思議を実現する為の工夫があちこちに詰まっています。
大変に感心もしましたが、正直に言えばここまでやる必要があるのだろうかとさえ思いました。
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