半年に届きませんが、ESLを聴いて来ました。これこそが最高のスピーカーなどと言うつもりは有りません。けれど大変に感心しました。
すべてが出来る、何事にも完璧な人間などはいなくとも、心底 尊敬に値する人格はあり得る。こんな喩えはおかしいでしょうか。
磁石による磁界の中に、信号の通るボイスコイルを置いて振動板を動かす事が一般的なスピーカーだとすれば、静電型のスピーカーは異端中の異端です。
その意味でESLを中庸の例とするのもおかしく聞こえるかも知れません。今まで普通、一般的、人並みなどと言う言葉と中庸という言葉の差が良く判っていませんでした。全く別の意味だと初めて知りました。異端とも言える成り立ちと全く矛盾しません。
当時とすれば十分なレンジだったのかも知れませんが、今の標準で言えば、F特もダイナミックレンジも極く限られたものです。(本当は当時だってダイナミックレンジが足りない事はあったと思います、)しかし、限られた中でのバランスが非常に良い。身の置き所を心得ているとも言える気がします。
無限の世界の中に、限りのある我が身をどこに置くのか。人並みである事とは別の、自らの選択と意思が無いと出来ない事だと思い知りました。中庸が最上の美徳だと初めて実感しました。
広範な周波数帯域による透き通るような世界というよりは、限られた範囲の中の密実な世界、金ぴかと言うよりはハシャギすぎない少しくすんだ金色、勿論ツィーターとウーハーを足してF特を広げたり、ダブルスタックでダイナミックレンジを稼ぐ手もあって、大いに興味は有りますが、1本そのまま限られたけれど完成した世界を充分に愛でてからでも良い気がして来ました。
丹念にウォーミングアップをしないとすぐに歪みます。おそらく40年位は前の細い平行二芯電源ケーブルを、20年程前でしょうか、まだ出たばかりの頃の6Nスピーカーケーブルに替えました。これは効き目が有りました。まだ当分楽しめそうです。
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