書き足しているうちに長くなったので別のエントリーにします。
自衛隊では空母ではない護衛艦だと言い張っていますが、全長200mに近い全通甲板を持つヘリコプター母艦2隻 いせ・ひゅうがの後、更に200mを超えるDDH22・DDH24の2隻を作ります。大型ヘリコプターを積んでいる分には、災害の救助に役立つかなという所です。
日本が次期主力戦闘機として期待するアメリカのF35は未だに実用化出来ず、おまけにF22に比べてずっと安いというのが売りだったのに、どんどん 高くなっています。航空自衛隊が考えているのは米空軍仕様のF35Aですが、これには海軍仕様の35Bと35Cがあって、そのうち35Bは垂直離着陸機能を持っています(正確に言うと短距離離陸・垂直着陸。追伸ーその後垂直離陸にも成功)。もしF35Bとオスプレイ が4隻のヘリコプター母艦に積めたりすると、アメリカ軍には及びもしませんが人並み以上の空母持ちという事になります。
垂直離着陸機能を持たない飛行機を短い滑走路から飛ばす(というよりは打ち上げる)のにはカタパルトが必要です。蒸気カタパルトには特殊な技術と材料が必要です。中国がどこかのスクラップを、空母にしようと隠して来たワリヤーグですが、さすがのモノマネ中国も見よう見まねでカタパルトの偽物を作る事は出来ませんでした。もしカタパルトが駄目だとするとワリヤーグの先に付いたジャンプ台に頼るしかない訳です。そうした場合、船を風上に向けて30ノット近くを出す必要がありま す。エンジンの付いていないスクラップを買って来たので自製エンジンを乗せましたが、中国製の機関では20ノット程しか出せない様です。
飛行機が帰って来た時には短い甲板で止まる為、飛行機側からフックを出して、ワイヤに引っ掛けて停めます。このワイヤが簡単に作れる物ではありません。ロシアにワイアを頂戴と頼みましたが断られ た様です。中国は自国用にとロシアから戦闘機を買って、そっくりのコピーを何十機も作って他所の国に安く売り飛ばしたりしてます。ロシアも相当に腹を立 ててます。ワイヤについては最近スウェーデンから手に入れたとの報道がありました。
現在、外界の注目は全て試験中のワリヤーグ号に注がれ ていますが、軍事アナリストによれば、中国海軍の2万トン級071ドック型揚陸艦の規模拡大の方が、中国 の世界における影響力に、より直接働きかけることになると言います。揚陸艦というのは自分の領地以外を攻めた時に軍隊を上陸させる為の船です。
自衛隊は戦後何度も軽空母の計画を練り、実際にハリアー(垂直離着陸戦闘機)を買おうとしましたが果たせませんでした。垂直離着陸戦闘機を飛ばす為には甲板の耐熱仕様が必要ですが、今回のヘリ搭載用護衛艦にはそうした仕様が採用されているそうです。
空母一隻を動かすのも大変ですが、空母は一隻では意味を持ちません。基地一つ分の航空機部隊や、護衛艦何隻かの艦隊が必要です。いざという時に大きな図体を動かすのも大変ですが、何時来るか判らない時のため、平時にもこの機能を維持する必要があります。列島の裏表、整備や補給で港に入る事を考えれば3セット欲しいなんて言う人もいます。
空母一隻、艦隊ひとつを維持するのには大変なお金が掛かります。これからしぼんで行く日本に可能でしょうか。中国だってどうでしょう。ソビエトだって維持しきれなかった訳ですから。当分はあくまでヘリを載せる為の護衛艦と、垂直離着陸機能を持たないF35Aは、何の関係も無いと言う事にしておくべきでしょう。原爆を作らないと言いながら、発電の役には立たない事が明らかになった厄介ものプルトニウムを溜め込むのと似た仕組みに思えます。
二次大戦中の日本の軍隊って奴がどんなにデタラメで無責任な物かを知る度驚きます。一方で今の日本の社会に照らし合わせて見れば、そんなに不思議な事でも無いかとも思います。大和・武蔵にこだわった大鑑巨砲主義は間抜けですが、海軍に置ける空母の重要性を知り、近代的な航空兵力の拡充に努めて、(ここまでは寧ろイギリスに一日の長がありました。)実際に空母機動部隊で初めて圧倒的な成果を上げた点に置いて、帝国海軍は近代海軍の先駆と誇っていいと思います。いせ・ひゅうがの後はあかぎ・かがと名乗って欲しい所ですが、空母に替えますとばらす様でこれは拙いのかな。(帝国海軍の赤城は巡洋艦を加賀は戦艦を作り替えた空母でした。)
DDHにF35Bやオスプレイが載せられたらという書き方をしました 。日中相互の軍事オタクの関心事ですからあまり近寄らない様にと思ったのですが、実際には難しい点が多いと言うのがその筋の一般解だと思われます。F35Aはともかく、F35Bは計画自体の中止もあり得るし、たまたま一機を着艦発進させるぐらいは出来ても、ヘリコプター用に計画された整備、格納部分では戦闘機部隊の運用には難しい点が多いなんて事が書いてあります。寧ろ増強された中国潜水艦を考えればオスプレイに対潜哨戒機能を期待する所ですがそうした話を私はまだ聞きません。でもね、軽空母とハリアーをあんなに欲しがっていた自衛隊が考えてない筈がないとも思うんです。