映画にはいつも期待しすぎてしまいます。勝手に期待をしすぎて良く落胆もします。逆に全く期待していなかった映画が良いと舞い上がってしまいます。
何が上映中かも知らずに寄ったギンレイホール、4時過ぎに行ったら次の上映は4時20分からです。2本の内1本はまだ見ていないウディアレンでした。これは丁度良い、今日は2本を見て行きましょう。
ウディアレンの1本は、最近見たマッチポイントやバルセロナに比べても特別に良い出来だとは思いませんでした。良く出来てはいるけれど、アニーホールやマンハッタンの様にぐっと来る訳でもありません。名前も忘れてしまいました。
全く知らなかったもう一本 ’17歳の肖像’ 。全く期待していなかったものだから不意打ちを食ってしまいました。女の子の退屈な毎日、そこから見た事も無い大人の世界へと連れて行ってくれる男、そして初めてのセックスとどこかにありそうな話です。林真理子の書いた本もあった気がします。(ストーリー自体は通俗の極みだとケチもつけられます)
男の子が色々な経験をして大人になって行く映画は山の様にあります。大体は初めてのセックスの話でしょう。どれも同じありふれたと言えるものです。けれど傑作がいくつもあった気がします。
どんなにありふれた話も素敵な映画になる可能性があって、どんなに特別な話もつまらない映画になる可能性があります。
訳の分らぬ邦題で損をしている様に思います。原題はAN EDUCATION、この題でこそ映画の意味があると言うものです。まず堅苦しい学校教育があって、それとはまるで違う大人の世界を教育されて、退屈な学校教育を全て否定します。けれど古くさい教養の中の大事なものに気が付いて行く。こういう事なんだと思います。男の私にも十分以上に素敵な女の子映画。全ての女の子と、女の子だった人に是非、お勧めしたいと思います。
PS
あんな間抜けなフランスかぶれは日本だけかと思っていました。
篤姫の人気は日本だけだと思いますが、宮崎あおいは向こうに行っても人気が出るかも知れません。
ロシアのメドベージェフはこの映画の男と似た所がないでしょうか。スタイルカウンシルのミックタルボットも似て見えます。オールバックにしている時には気が付きませんでした。俳優の伊勢谷友介は前髪を下ろすとポールウェラーに似てない事も無い。・・・・役に立たない連想が止まらなくなってしまいました。
ラファエル前派って人気あるんですよね。あれを良い趣味や教養の例にあげるのはどんなものかなんて言ったらイギリス人は怒るかなぁ。イギリス人には一度言ってやりたいと思っていました。絵は良く描けています。でも心根が日本の少女漫画や竹久夢二と同じセンチメントだと。風俗として取り上げるべきものであってファインアートとして取り上げるのは如何なものか。・・・・愛する音楽と絵画の中で自国産はエルガーとターナーとこれぐらいだとすればケチをつけるのも可哀想でしょうか。
ブリストルにナルニア。イギリス人は61年当時の誇りや心の支えを随分失ったのかも知れません。一緒に見たもう一本もロンドンの話でした。ジャガーを自慢していましたが普段乗っているのは日産とトヨタでした。暫くすると韓国製と中国製になるのでしょうか。中国の前で霞んでいく日本人が更に揚げ足を取る様な事は止めておきます。映画の中、61年のイギリスはとっても素敵です。
映画館に入る前にkawaさんに偶然お会いして珍しく褒めことばを聞いたので、ついつい映画を見ながらkawaさんの顔が思い浮かぶのでした。
男の車は何なのかわからず、あとで調べてブリストルだと分かりましたが、学校の前にいつも停めてあるミニのワゴンはあの先生のクルマなんだろうなと思ったり、遠くに見えたトライアンフ(ぼくのMacBookは、「虎慰安婦」と変換しました)TR3は、たしかkawaさんの好物だったなと思ったりしてクルマを見ていました。
映画にしろ本にしろ、もとのままのタイトルの方がずっといいのになと思うことはしょっちゅうありますが、たしかにこれも「AN EDUCATION」のほうが圧倒的にいいですね。
この子は、家庭と学校とおとなの男から三つのEDUCATIONを与えられ、それぞれがいくつもの側面を持っていたわけですが、 だとすれば「AN」というのはなぜだろうと気になりました。ところで、EDUCATEっていう動詞は教育を受けるということなのか与えるということなのか気になったので、Macにタダでついている「Dictionary」で調べてみたら「give intellectual, moral, and social instruction to (someone, esp. a child), typically at a school or university 」とありました。受けるのではなくて与えることなんですね。
おそらく、おとなたちにこれらのEDUCATIONを与えられた少女は、それをひとつの流れとして受けとりそれを熟成させてゆくということなんでしょうね。
いろいろな側面でたのしめる映画でした。
投稿情報: 玉井一匡 | 2010-09-03 17:18
とっても素敵な映画でした。誰かに、出来れば沢山の人に見て欲しいと、時間が立って思いが強くなります。一人でも知っている人に見てもらえて嬉しいです。
’この子は、家庭と学校とおとなの男から三つのEDUCATIONを与えられ’ 成る程、私の勘定には家庭での教育がひとつ抜けていました。
ラファエル前派についてファインアートとしてより風俗の問題だと言いました。イギリス人は怒るかも知れませんが、これはファインアートに比べて風俗を低く見ている訳ではありません。むしろ音楽や洋服や生活習慣のひとつひとつがお芸術と同価であると言いたい所です。そうしたディテールの一つ一つが1961年なりに輝いて見えたのもこの映画の魅力だと思います。
投稿情報: kawa | 2010-09-03 18:15