ケーブルテレビの膨大なチャンネルもほとんどは私にとって興味の無い無駄だと、自分自身に言い聞かせています。
けれど、面白そうなチャンネルや番組を何度か他所で見た事があります。
ほとんど見る時間も無いのですが、ひかりTVって奴だけ契約してみました。一月367円を払っておくと、映画が一本315円とか420円で見られます。
時々、なんでこんな物がという映画が出て来ます。
1943年のアカデミー賞、ドキュメンタリー映画賞を取った、F キャプラ監督のプレリュード トゥ ウォー(邦題は われら何故戦う)は二次大戦への参戦を国民に促す国策プロパガンダ映画です。
世界中に出て行って偉そうなおせっかいどころか迷惑なドンパチを始めるのが大好きなアメリカと、世界の事情などにはとんと興味が持てずだだっぴろい中西部で保守的に暮らしていたいアメリカと、二つの面が振り子の様に振れている国なんだと良く分かります。
日独伊を全く同じ構造の相似形独裁国家として規定しています。
日独の破竹の侵攻はあっても、弱そうなイタリアに破竹の侵攻という印象がありませんでした。もっと弱そうなエチオピアに対して、相対的に強大な軍事力で侵攻していた事をポーランドや満州と並べていました。
日本人は英米中国と戦争した覚えはあってもオランダやオーストラリアと戦争した自覚が薄いと思います。けれど彼等はいまだに根に持っています。
同じ様に私はイタリアのエチオピア侵攻は印象が薄い。これは不勉強でした。
もうひとつ、この戦争を自由民主主義と奴隷国家との戦いだとしています。自由の無い国家主義の中での国民は奴隷に等しいという比喩だと思います。
けれど、日独伊に本当の奴隷がいたでしょうか、戦後まで公民権運動などの問題を持ち越した国がよくもまぁそんな事をぬかせた物だとも思いました。
いくつかの点で中々面白い映画でした。
ロバート・キャパが従軍記者として大西洋をわたる時、自分の名前「キャパ」が間違えられて、キャプラ監督にさせられてしまったという話が、「ちょっとピンぼけ」にありましたですね。
投稿情報: AKi | 2009-02-27 10:50
フランク・キャプラをwikipedia(日本語版)で見たらこの映画のことをこう書いてありました。
*第二次世界大戦中は軍隊に志願し、アメリカ陸軍の映画班に所属したキャプラは、ワシントンに駐在して新兵教育のための「われらは何故戦うのか」といった戦意高揚のプロパガンダ映画を製作し、その功績が認められ中佐にまで昇進するが、実際の戦場を目の当たりにしたキャプラは「あの戦争は私を焼き尽くしてしまった」と語るほど、ショックを受ける。
http://ja.wikipedia.org/wiki/フランク・キャプラ
上記の記述にはこの映画でアカデミー賞をもらったとは書いてありませんでした。
同じwikipediaで英語版を見ると、もっとたくさんのプロパガンダ映画をつくったことが書いてあるし、日本語版のような、戦争に対する懐疑的な視点は書かれていません。
「キャプラは、これらの映画を自分の作品の中でももっとも重要なものだとしていた」ともあります。・・・こんな具合なのです。
* Frank Capra was commissioned as a major in the United States Army Signal Corps during World War II. He produced State of the Union and directed or co-directed eight documentary propaganda films between 1942 and 1948, including the seven-episode U.S. government-commissioned Why We Fight series—consisting of Prelude to War (1942), The Nazis Strike (1942), The Battle of Britain (1943), Divide and Conquer (1943), Know Your Enemy: Japan (1945), Tunisian Victory (1945), and Two Down and One to Go (1945)—as well as produced the African-American targeted The Negro Soldier (1944). Why We Fight is widely considered a masterpiece of propaganda and won an Academy Award. Prelude to War won the 1942 Academy Award for Documentary Feature. Capra regarded these films as his most important works. He was decorated Distinguished Service Medal in 1945 as a colonel.
http://en.wikipedia.org/wiki/Frank_Capra
投稿情報: 玉井一匡 | 2009-02-27 16:24
Aki様
片仮名なら区別が出来ますが、口で言われたら私にも判別不能だと思います。
アメリカの良心って奴は大変結構なものではあるけれど、迷惑な所も多いと思います。
投稿情報: kawa | 2009-02-27 16:51
玉井様
キャプラ自身がこの映画をどう思っていたかも興味があります。それ以上に日本語版に加わった’懐疑的な視点’がどういった経緯で入ったのか、誰が入れたのか、何が根拠だったのか興味深いですね。
投稿情報: kawa | 2009-02-27 17:07