真珠湾攻撃が昭和16年の12月。父が学校を出た昭和17年には、既に出版物の検閲も始まっていた様です。そんな中で闘う事の嫌いな牛などと言う絵本が買えたのも、今考えれば不思議な事だったみたいです。
何冊かを買ってあちこちに配ったり薦めたりしたらしい。
中には本屋さんに勤める親戚もいて、手元のこの本は戦後暫くして私達兄妹が生まれてから、その本屋さんから出たのを買い直したものです。
小さい時から身近だったこの本の挿絵が大好きで、ネタに困った今年の年賀状に使おうと思います。戦後の本だろうと思っていたので出版当時の話を初めて聞いて驚きました。父に取っては特別な絵本だったらしい。
PS その後いくつか検索をしてみた所、原書の発行が1936年(昭和だと11年)スペイン内戦の年で、日本国内だけでなく発刊当時から戦争に対して含む所があるのでは、と言われていたようです。
どうも英語だった様なのですが、スペインだかイギリスだかどこの国の本だったのかが分かりません。マンローリーフ作ロバートローソン絵、ラテン系の名前じゃなさそうですね。アメリカなのかな。だとすれば’誰が為に鐘は鳴る’に通ずる世相が在ったのかも知れません。(ヘミングウェイの出版は1940年)もうひとつ、どこを捜しても昭和29年岩波から児童向けの本として発行された話ばかりで、戦前に日本ではどこから出ていたのかが分かりません。大きな物の影に隠れると小さな事実などは分からなくなってしまうのが歴史という物なのでしょうか。
そうでしたか!
貴重な事実情報をありがとうございます。「花の好きな牛」は持っているのですが、福島山の中の書庫のダンボールのどこかに入っています。今度行ったら持ってこよう! 年賀状にプリントされた挿絵を見て「すごい絵だったのだ」と気がつきました。ましてや、「戦争に対して含むところがあった」作品とは、読んでいる時あまり意識しませんでした。恥ずかしいです。
素晴らしい親御さんだったのですね。出版に限らず小さな事実の話は色々あります。
反戦意識を支えた「小さな事実」も沢山あります。歴史の表には出ませんが。表に出なくとも、からくも我々の生活がなんとかぎりぎり救われる感があります。
出版で言えば、たしたことではないのですが、80年代後半「大草原の小さな家」がブームになった事がありました。戦後昭和24年(1949年)頃、私は確かに進駐軍(当時GHQの事をそう呼びました)が作った図書館で、薄い本でしたが訳されたのを読んだのです。抄訳だったのかもしれません。 翻訳史に当時翻訳されたとは、出ていない事ですが。
どなたもコメントがないので、唐突ながらすばらしいエントリーなので書き込ませて頂きました。
「ガザ」のエントリーもすばらしいものでした。
投稿情報: 川好きonna | 2009-01-04 08:38
誰も近寄らないエントリーへのコメント有り難うございます。
戦争に関してなどと言う事は、私も一切考えた事がありませんでした。
あからさまな反戦には見えません。
争うことも無く、自分の信じた通りに生きる事を教えてくれる所が良いと思います。
だから、私は恥ずかしいとは思いません。
これからの子供達が、同じ様に自分の好きに生きて良いんだと思ってくれれば良いなと思います。
記録に残る出版から漏れてしまった二つの事実から、この世が記録に残らない多くの人達の仕事に依って成り立っている事を実感しました。
テレビの番組からはるかにさかのぼる、「大草原の小さな家」もどなたかの多大な努力が在ったのだと思います。
投稿情報: kawa | 2009-01-04 12:49