夏合宿の帰りに、菅平のホテルDを見に行ったことがあった。今をときめく伊東豊雄の建物の方は良く覚えていないけれど、所々に置いてあった大橋晃朗の椅子はとても魅力的だった。
今年の例の会では、坂本先生が異様に熱心で少し驚いた。同じギャラリー間でのご自身の展覧会の時はあんなに積極的に是非見に行けなどとは仰らなかったと思う。
土曜日にやっと見に行けた。
和箪笥やシェーカーに興味のあった初期。椅子の歴史を中国、はてはエジプトまで遡ってした勉強が、ステンレスパイプとワイヤ椅子に結実している事。そうした椅子があまりに高価になってしまった為に、もっと広くの人に使ってもらえるようにと作った合板の椅子。ついにはそうした椅子も彼の期待した社会性を得る事がなくて、本人が言う家具ゲームにたどり着いたこと。
多木浩二による解説は思い切り分かりやすい。ここまで整理してしまって良いものだろうか。
私はホテルDで見たパイプによる椅子のシリーズや、代田の町家のインテリアが好きで、その後の椅子にあまり興味がなかったのだけれど、多木、伊東、坂本の対談ビデオを見るのに、上の写真の椅子に小一時間座っていたのだけれど、見た目と違って非常に居心地が良かった。意外だった。
私の部屋の合板による一面の棚も、私自身は与えられたコンクリートの箱と、要求された収容能力、無いお金による、必然の帰結であって、世の中で言うデザインなどとは一番離れたものだと思っていた。けれど、坂本先生と大橋さんによる南湖の家の全面の棚が頭のどこかにあって出て来たものだったのかも知れない。
この展覧会は見に行こうと思っていて失念してしまいました。
坂本先生と大橋晃朗氏による最初のコラボレーションになる「散田の家」も突き止めましたので、是非とも「西八詣」をして下さい。furuさんが私の写真から「散田の共同住宅」も発見してますので尚更だと思います。
因みに、東京造形大の本部棟最上階のラウンジに大橋晃朗氏の椅子とテーブルが二セットあります。そういえば学長の白澤先生は坂本先生と東工大の同期のようですね。
投稿情報: iGa | 2007-03-12 16:54
坂本先生の最初の課題は、白沢宏規氏の住宅のコンクリートブロックによる躯体を活かして住宅を設計するというものでした。
東工大に行ってからは、院に行ってからでないと先生に直接指導をあおぐという訳にも行かない様ですが、武蔵美では入ったばかりの何も知らない馬鹿相手にも指導して下さいました。
投稿情報: kawa | 2007-03-12 18:59