やっと見に行けた。予告編の中の砂利道を走るオートバイやラグビーのシーン、ほんの一瞬が心に残っていた。放っておくと期待がどんどん大きくなってしまう。期待をし過ぎないように注意をしてきた。今まで、まだ見ぬ映画に期待しすぎて落胆してしまったことが何度もある。
まだ、私も小さくて、我が事として受け止めることはなかったけれど、社会の中で、ゲバラや毛沢東がどういう受け止め方をされていたかを覚えている。思想と革命という衣をまとったアイドルで、その中身以上に格好の良い事に意味があった。(怒ってしまう人がいるかもしれない。社会がどう受け止めるかは、往々にして本質とは無縁で、本質だけでなく皮層にも真実がある。私には皮層しか見る事が出来なかった。こんな言い訳で許してもらえないだろうか)
ゲバラという偶像が大き過ぎて、ひねくれた私に用心をさせてくれたのが良かったのかも知れない。
或いは要らぬ用心だったのかも知れない。私達の知っているアイドルとは別の一人の青年の映画だった。
それでいて、私にも何故彼が’ゲバラ’になったのかを納得させてもくれる、素敵な映画だった。
山のような荷物と二人乗りのオートバイのハンドルがどんなに心もとないか、見ているだけで伝わってくる。南米の景色。出だしのバスにぶつかりそうになる所。素晴らしいシーンが沢山ある。ハリウッドなどと言う仕組みによらなくても。人が各々自らの大地に立つことで、世界中の誰もを納得させる普遍性を得ることが出来る。ひとりよがりにならず、こんなに良い映画が出来る。うらやましい。
ギンレイホールで7/1まで
PS
そう言えば禅とモータサイクルメンテナンスも途中までは素敵な話だった。
PS
川を泳いで渡るシーンは必要だろうか。むりやり作ったようでなじめない。こういう事を演出とかドラマと呼ぶのだろうか。