オートバイは中学のころから大好きだったけれど、実際に免許をとって、中古のSRを買えるようになったのは、勤め始めてからだった。もともとオフロードバイクXT500のエンジンをロードモデルに載せたSRは、中型免許で乗れる400にするために、同じシリンダーに半径の短い重いクランクとピン上の長いピストンを入れている。500cc版も圧縮比を落とされて、どちらも本来のXTに比べて随分情けないエンジンだった。ボアはどちらも同じ87パイなので、400のピストンのまま500の軽いクランクを入れると、500になるだけでなく、圧縮比がたしか10.5ぐらいまで上がって、少し元気が良くなる。ただ圧縮比が上がるとバルブステムのシールが少し早く痛んでオイル下がりが起きやすくなる。ドイツ仕様のピストンを入れると圧縮比が少し下がって、いい具合だった。日本のバイクにしては珍しくエンジンの形が気に入っていたのだけれど、ヘッド回りの潤滑に問題があって、ロッカーアームの軸受部分がかじられてしまうと、いくらタペット調整をしても音が止まらなくなる。78年の発売以来現在まで、基本的には変わっていないエンジンだけれど、ヘッド回りの潤滑のため、オイルラインが何度か強化されている。私もヘッドとカバー一式を交換している。(安売りで買ったオイルがいけなかったのだろう,東北一周のツーリングから帰って来たら音が止まらなくなった)中古でいい部品が見つかれば良いけれど、新品で揃えると結構な負担だ。二度目に又音が出だして、手放した。82年から96年ごろまで随分長いこと乗っていた。その間、お店では他の手を入れた色々なSRに乗せてもらって、どこをいじればどうなるか少しは見当が付くような気がしていた。パワーを求めると粗くなって必ずしも良い味にはならない事もあった。ただ手放してから、400クランクのままボアアップをして470ccにしたのに乗せてもらったのだがこれは良かった。レーサーはもちろん街乗りとしても、決してパワーがある訳ではないのだが、乗り味が良くて。パワーはそこそこでも、上がもう少し回ってくれれば文句無し、ハイカムを入れればとても良いエンジンになったと思う。ショートストロークが良かったのか、400の重いめのクランクが良かったのか分からない。基本的にはこのエンジンのまま釘宮選手は筑波で1:06か1:05を出している、釘宮選手によればピークパワーを考えれば色々別の手もあるけれど、過渡特性の良さはレースでも魅力的だと言っていた。SRを手放したのが少し惜しくなった。
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