今朝の新聞にはロックンロールの父と書いてありました。BBCでも
Chuck Berry, the guitarist and songwriter recognised as one of the fathers of rock 'n' roll, has died aged 90.
と書いてありました。そしてジョンレノンが如何に尊敬をしていたかについて述べてあります。
幾つかの点でカチンと来ました。それではビートルズやビーチボーイズ、ローリングストーンズが認めなければ価値は無いのか、彼らの尊敬は何があってもたらされたのか、それを語らず皆の知っている名前と尊敬という言葉を挙げる事では説明になっていないのでは無いか。第一、父という事はビートルズとチャック・ベリーのどちらをロックンロールとして認めているのか。チャック・ベリーを差し置いてビートルズこそをロックンロールとした事にならないか。
キング オブ ロックンロールは誰かと言う問いに対して幾つかの答えがある事は知っています。私に言わせれば、何を言っているのか チャック・ベリーに決まっているだろうと思います。リトル・リチャードやボ・ディドリーを挙げる特定のファンがいる事は認めます。けれどエルビスやビートルズだなんて言い出す人間が信じられません。
ロックンロールって言葉の周りには、野球って言葉と同じ様にあまりおつむの良く無い空気があって時々うんざりします。来日時のコンサートでも御大登場の前に、連れてきたバックバンドだけで何曲かをやったのですが、これが日本の高校生より下手糞で閉口しました。客のリーゼントお兄ちゃんたちが糞バンドで大喜びするのにはもっと迷惑しました。遅れて出てきた彼はバックバンドに一切頓着せず、一晩の仕事を終わらせる事に集中していました。
チャック・ベリーはお金に猜疑心が強くマネージメントを誰かに任せる事が出来無いのだそうです。(ミュージックビジネスの中で黒人の置かれた位置には同情すべき点も多かったのだそうです)その結果大きな企画や自前のバンドの用意が出来ません。(音楽への猜疑心が強いあまり自前のバンドの整備に熱心だったジェームス・ブラウンとは対照的です)呼ばれると小さな街の地元でバックバンドをかき集めてワンナイトスタンドのコンサートを繰り返して来ました。
そうした状況が心配で、きちんとした場所でしっかりしたバンドをバックに、万全の状況を作った上でチャック・ベリーにやらせたいとキース・リチャーズは考えていました。そのコンサートまでの様子を描いた映画がヘイルヘイル!ロックンロールです。機会があったら見て欲しい映画です。
彼をロックンロール前夜とする事には異議がありますが(彼自身がロックンロールであって白人のロックをロックンロール後夜とすべきでしょう)、ロックンロールに至る過程を彼が内包しているのも事実です。彼はシカゴのブルースレーベルCHESSの出身ですし、ロックンロールはブルースやブギをアップテンポにしたもの、ジャンプミュージックとはもう背中合わせだと言えます。’メイベリン’の中で女性の不実をなじっているのもブルースに近いと思います。朝起きたら彼女がいないとか、明るくなってから帰って来たけど一晩どこに居たんだとか、振られた男が女の不実をなじる歌詞はブルースの定番です。It Can't Be Trueだとそんなはずは無いとの意味ですが、Maybellene! Why Can't Be Trueと言う歌詞でTrueには真実の他に正直という使い方もあるんだと知りました。Honestを使うのとどう違うかは判りません。
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