イタリアに行っても、これだけまとめて見る事は出来ないでしょう。ボッティチェリだけ、カラバッジョだけでも凄いと思うけれど、上野で両方一遍に見られるって言うのも凄いなぁ。恵まれた国だと思いました。フィリッポ・フィリピーノのリッピ親子や、影響を受けたカラバッジョフォロアーの作品が多いのも、ちゃんと意味が分かるし見応えもありました。蕎麦と言いながら小麦粉半分かよとは思いませんでした。ボッティチェリは鼻から手前の顔は描けるけど向こうに回り込む顔が描けない。輪郭の線に頼って平面的な処理で済ましちゃう、日本のアニメや漫画と同じだなんて思ってました。ミケランジェロやボッティチェリって中心人物は凄く描き込むけど後はほとんど素描程度で済ましちゃう絵もありますよね。最後の審判の中心と同じレベルで天井全てを描けって言うのも無理ですけどね。ミケランジェロはシスティーナを自分で描いたようですが、今回のボッティチェリの中でも弟子に任せたと思しき物には輪郭線と平面的な顔の処理がありました。本人が気合を入れたやつは明らかに密度が違います。顔の表面にも大変な書き込みがありました。はるか昔、ウフィツィ美術館で’春’や’ヴィーナスの誕生’を見た時は筆使いをここまで細かく見られなかった気がします。実物が見られて良かった。顔の向こう側には壁なり空なり暗闇なりの反射や写り込みがあって向こうに回り込んで行く訳です。日本の漫画や浮世絵にそれが欠けているからと言って絵の価値が損なわれる訳ではありません。ボッティチェリ展は都美術館で4月3日まで、カラバッジョ展は西洋美術館で6月12日まで。
PS 'カラヴァッジョ'が正解みたいでした。
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