バーニー・フュークスは、イタリアの街を抜群の技術で描く事で、何を求めるのかと言った辺りに弱みを見せました。(綺麗な観光写真で良いのかと言う事です。)けれど新大陸でのモチーフを描く限り、古い価値の外に有る事が寧ろ強みです。テクニックは抜群です。
画家のなかでも、ため息が出る程絵の上手い人はそう多くはありません。超絶技工やスーパーリアリズムと言われる絵はテクニックや、ここまで描くのかと言った事に感心はさせても、尊敬までは感じない事が良く有ります。テクニックの他に有る種の尊厳が必要なのかも知れません。
二つを兼ね備えて、マネやベラスケスと並べて話をしようなどと思う事は滅多に有る事ではありません。バーニーが上手いと褒めた事で、今年見たもう一つの展覧会を取り上げない訳に行かないと思いました。
3月に原美術館で見たミヒャエル・ボレマンス、これは凄かった。具体的なオブジェクトを描く事でそれとは別の深淵を感じさせる点については、私の側に語る資格がありません。ここではその技術に付いてのみです。例として上の絵の頭髪を上げたいと思います。一本一本描いてある、スゲ〜と言うのは他にも見た事が有ります。彼はほんの何回かの刷毛目だけで見事に表現しています。今までに見た頭髪の中で一番上手いと思いました。
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