古色蒼然とした古いだけの機械を名器などと持ち上げて、有り難がったり、人様をたぶらかそうとする輩を好みません。自分で聴き比べる事もせず、伝説だの噂だのばかりを有り難がって、騙されたくて仕方が無い人達とも距離を置きたいと思います。
一方で電気的な増幅に頼らない蓄音機でなければ得られない直接的な音があるとは思っていました。けれど、ノイズの向こうのかそけき音を拝聴する物で、他所で感心する事はあっても、自分で音楽を楽しもうという時に選ぶ事は無いとも思っていました。
良く整備されたクレデンザの正面2mで、古いJazzを、聴かせてもらいました。幾つかの点で考えを改めました。
まず、最初のサーっという音の後、音楽が始まってしまえば、ほとんどの曲でノイズは気になりませんでした。SN比には問題がありません。周波数やダイナミックレンジにも不足がありません。(今時のフラットな周波数特性とは違いますし、どうしたって最低域は薄いです。)ジャンゴ ラインハルトとステファン グラッペリのギターとヴァイオリンは自分の所で聴いたLPよりずっと良い音でした。ボーカルも良かった。ピアノはさすがに辛かったかな。(再生側の問題というより録音時のダイナミックレンジの問題でしょう。)
ハードとしての再生機にも感心しましたが、ソフトとしての音源、選曲構成、峰守さんの説明がとても素敵でした、稀で貴重な音源や知識ですが、自慢したり、難しい話にしようという所がありません。判りやすい話で音楽の楽しさを説明して下さいました。
前にもお邪魔した事のある催しです。もっと後ろで聴いていました。その時も素敵な内容でしたがこんなに音が良いとは感じませんでした。塚原さんに席をとって頂かなければ最前列中央に図々しく座る事は無かったでしょう。本当の音に気が付くことも無かったかも知れません。
(参考にリンクしたYouTubeは全くの同一機種と思われます。なかなかの逸品ですが所々でノイズも気になるし、もう少しふくよかでもと思います。個体差というより、針やSP盤の状態、メンテナンスで音も違うのでしょうか)