ローマ時代には、上下水道から水洗トイレまで備えていたのに、19世紀に都市の下水が完備するまで、牛や馬の糞から個々の家のゴミ、汚物までが、前の道にぶちまけられていたのというのは、本当だろうか。ベルサイユの便所の話は笑えるけれど、明日自分の家の前が汚物だらけになるのは笑えない。今から考えればとんでもないことのように思えるけど、ほんの暫く前まで当たり前の話だったらしい。
都会では夏の夜になっても気温が下がらない。日中の気温は変わらなくても、ムンムンしている都心から橋本や三郷あたりまで行くと、確実に夜の気温が違う。ヒートアイランドの原因として、本来土と緑で覆われている所をコンクリートとアスファルトで覆いつくしてしまったのも原因だけれど、クーラーからの排熱も大きな原因だろう。狭い部屋の中だけ冷やしても、全ての家が部屋の外に熱風をブーブー吹いている現状は、家の前に汚物をまきちらして当たり前だったことに似ている。いつか信じられないと言える時代がきて欲しい。
昔、食品工場でアルバイトをした時に、ボイラーからの蒸気と給水が平行して工場中にはり巡らされていた。どこでも二つのバルブを混ぜれば、水、お湯から、熱湯、蒸気までを取りだせた。掃除に恐ろしく便利だった。ラジエターを付ければ暖房や加熱も簡単だ。給排水と同じように、給熱と排熱が個々の家に完備される日が来るかもしれない。昔の暖房のように蒸気がいいのか、そのまま風呂になるような給湯が良いのか。給熱の方法が分らない。熱交換の効率が上がれば、水以外の媒体を循環させて個々の家は熱だけを受け取ることも出来るだろう。熱の回収もどんな媒体にどう熱交換させるか真面目に考えると難しい。もしかすると給排別の2系統ではなく一定温度の媒体から熱を取り出したり、排熱を押し込んだりすることもコンプレッサーがあれば出来るかも知れない。
実際には社会全体のインフラや個々の家の仕組みも今とはまるで違う用意が必要になる。
ただ、西洋風の下水道がなくても、人糞の回収システムを江戸時代には作り上げたように、もっと簡単な回収方法は出来ないか。
個々のクーラーを水冷にして排水を排熱に使えないだろうか。クーラーの排熱の他にお風呂の排水では既にかなりの排熱を実現しているとも言えないだろうか。逆に冬はヒートポンプで排水から熱を穫れるのではないか。
PS
余った熱を大気という大きなバケツに捨てた積りが、バケツの熱さに我慢が出来なくなった。とすれば集めた熱のリサイクルを考えざるを得ない。暑い夏でもシャワーや風呂に熱の需要は大きい。排熱と給熱はひと組みのモノにするべきだろう。一軒のなかでリサイクルが可能か、或いは町内といった単位か、ある程度大きな単位にするとプラスとマイナスが平均して相殺される、効率が良さそうだ。あまり大きくするとロスも増えそうだ。
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